オープンアクセス(OA)論文の流通・利用についての国家間の違い(文献紹介)

2022年8月9日付で、オープンアクセス(OA)誌“PLoS ONE”の17巻8号に、カナダ・モントリオール大学のMarc-André Simard氏らによる共著論文“National differences in dissemination and use of open access literature”が掲載されました。

Web of Science(WoS)に収録されている、2015年から2019年までに出版された論文やレビューを対象に分析を行ったとあります。OAステータスの確認には、データベースUnpaywallが使用されました。

結果として、OA論文の出版・引用の割合は平均すると低所得国で高い一方、高中所得国や高所得国では平均よりも低く、背景として、低所得国では論文処理費用(APC)が免除される場合が多いこと等が挙げられています。また、オープン・スカラシップの広がりを支援するために、機関・国・国際レベルでさらなるOA化の取り組みが必要であると述べられています。

Simard, M-A.; Ghiasi, G.; Mongeon, P.; Larivière, V. National differences in dissemination and use of open access literature. PLoS ONE, 2022, 17(8).
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0272730

参考:
PLOSがグローバルなオープンアクセスの促進に向けたプログラムを発表、低所得国に対して投稿料を無料・減額に
Posted 2012年9月5日
https://current.ndl.go.jp/node/21761

国際STM出版社協会、発展途上国を含む包括的で公平なオープンアクセス(OA)への転換を検討するホワイトペーパーを公開
Posted 2020年9月11日
https://current.ndl.go.jp/node/41979

CA2013 – 論文公開手段としてのオープンアクセスジャーナルの有効性 / 浅井澄子
カレントアウェアネス No.351 2022年03月20日
https://current.ndl.go.jp/ca2013