オープンな研究データの共有・利活用の促進要因と阻害要因に関する体系的な文献レビュー(文献紹介)

オープンアクセス(OA)の査読誌PLOS ONEに、2020年9月18日付けで、研究者によるオープンな研究データの共有・利活用の促進要因と阻害要因を扱った文献に対する体系的なレビューについて報告・分析した論文が掲載されています。

著者らは、主要な学術文献データベースや図書館情報学関係雑誌に収録され、2004年から2019年の期間に発表された、オープンな研究データの共有・利活用における促進要因と阻害要因の両方を扱った文献32件を選定し体系的なレビューの対象としました。レビューの結果は、「研究者の背景」「助成機関等から課せられた要件・公式な義務」「研究者個人に帰属する内発的な動機」「促進する条件」「データやその利活用等に対する信頼性」「期待される効果」「所属機関やコミュニティが及ぼす影響」「研究者自身に必要とされる作業」「研究者自身の経験と技能」「法規制」「データの特性」の11の観点に整理され、内容の分析・議論を行っています。

著者らはレビューの結果として、共有・利活用それぞれの促進要因・阻害要因と関連の深い観点を指摘した上で、これらの観点が特定の文脈や研究分野で重要であるかどうかを検証するためにはさらに研究が必要であることなどを結論として報告しています。

Zuiderwijk, Anneke; Shinde, Rhythima; Jeng, Wei. What drives and inhibits researchers to share and use open research data? A systematic literature review to analyze factors influencing open research data adoption. PloS one. 2020, 15(9), e0239283.
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0239283

参考:
CA1980 – データ引用を研究活動の新たな常識に:研究データ利活用協議会(RDUF)リサーチデータサイテーション小委員会の活動 / 能勢正仁,池内有為
カレントアウェアネス No.345 2020年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1980

CA1983 – 動向レビュー:Machine-actionable DMPs(maDMPs)の動向 / 常川真央
カレントアウェアネス No.345 2020年9月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1983

E2233 – リーフレット「研究データにDOIを付与するには?」の製作
カレントアウェアネス-E No.386 2020.02.27
https://current.ndl.go.jp/e2233