英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)、オンラインの閲覧室やティーチングスペースの現状と今後の展開に関する調査報告書を公開

2022年4月11日、英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)が、コレクション所蔵機関におけるオンラインの閲覧室(Virtual Reading Rooms:VRR)やティーチングスペース(Virtual Teaching Space:VTS)の現状と今後の展開に関する調査報告書を公開したと発表していました。

報告書は、RLUKが大学・研究図書館協会の国際的な連合体IARLAのメンバーと共同で実施した最近の調査結果をまとめたもので、VRRおよびVTSサービスを構築した、あるいは構築しようとする国際的な22機関の経験を紹介しています。

COVID-19の大流行による図書館や公文書館の閉鎖のため、研究者等の利用者が物理的にコレクションにアクセスすることができなくなったことに対する緊急対応としてVRRやVTSといったリモートテクノロジーが構築されました。図書館等のオンサイトのサービスが再開されて以降も、多くの機関が物理的なプロセスや活動と並行してVRRやVTSの運営を継続していることがわかったとしています。さらに、VRRとVTSが、様々な利用者グループにコレクションを提供し、オーダーメイドのサービスとして研究や学習を促進する可能性を、教育機関はより強く認識しているとしています。

結論部分では、VRRやVTSを既存のサービスに統合していく際にはスペースや資金といった必要な資源を確保し、スタッフのスキルへの投資が重要であるとしています。また、機関横断的な協力の必要性が認識されているとし、機関が横断的に協力することで、個々の機関の利益にとどまらず、世界のユーザの利益に供することができると結んでいます。

RLUK report: Virtual Reading Rooms (VRRs) and Virtual Teaching Spaces (VTSs) amongst collection-holding institutions(RLUK, 2022/4/11)
https://www.rluk.ac.uk/rluk-vrr-vts-report2/
https://www.rluk.ac.uk/wp-content/uploads/2022/04/RLUK-VRR-VTS-in-collection-holding-institutions-report.pdf
※2つ目のリンクは報告書本体[PDF:39ページ]です。

参考:
英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)、加盟機関における新型コロナウイルス感染症への対応とデジタルシフトの状況を調査したレポートを公表
Posted 2020年7月6日
https://current.ndl.go.jp/node/41432

E2439 – オンラインの閲覧室・ティーチングスペースの構築(英国)
カレントアウェアネス-E No.423 2021.10.28
https://current.ndl.go.jp/e2439