学術情報流通に関連した多様な話題を提供する学術出版協会（Society for Scholarly Publishing：SSP）運営のブログ“The Scholarly Kitchen”に、2022年3月16日付けで記事“Retroactively Open: Elsevier Backflips for NERL Agreement”が掲載されています。筆者は、米・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のiSchoolで客員教授を務めるLisa Janicke Hinchliffe氏です。
2022年2月、北米の研究図書館によるコンソーシアムNERLとElsevier社は、3年間の契約締結を発表しました。NERL参加機関の著者に対し、Elsevier社の学術文献プラットフォームScienceDirectへのアクセスを提供するとともに、「遡及的オープンアクセス（OA）」（retroactive open access）を試験的に提供するという内容です。本記事では、NERL側・Elsevier社側双方の協力を得た上で遡及的OAの詳細内容を紹介し、分析を加えています。
記事によれば、NERL参加機関の研究者が執筆した過去の非OAコンテンツが遡及的OAの対象となっています。契約期間中の各年において5年分のコンテンツが非OAからOAに移行し、3年間の契約終了時には、1986年から2000年までの対象論文約76,000本がOA化される予定とあります。OA化された論文にはクリエイティブ・コモンズ・ライセンスのCC BY-NC-ND（表示—非営利—改変禁止）が付与されることや、Elsevier社側に譲渡された著作権の返還までは行われないこと等にも言及しています。
Retroactively Open: Elsevier Backflips for NERL Agreement（The Scholarly Kitchen, 2022/3/16）
https://scholarlykitchen.sspnet.org/2022/03/16/retroactively-open-elsevier-backflips-for-nerl-agreement/
関連：
NERL and Elsevier continue agreement and develop open access pilot（NERL, 2022/2/3）
https://nerl.org/2022/02/03/nerl-and-elsevier-continue-agreement-and-develop-open-access-pilot/
