情報リテラシーに関するオープンアクセス(OA)の査読誌“Journal of Information Literacy”の第15巻第3号(2021年12月7日付けで刊行)に、論文“Cartooning the Cambridge University Libraries”が掲載されています。図書館による教育・研究支援において、漫画イラスト(Comics)を用いた情報発信が果たす役割を検討した論文であり、筆者は英・ケンブリッジ大学図書館のClare Louise Trowell氏です。
同論文では、ケンブリッジ大学図書館における漫画イラストを活用した取組事例4例を主に紹介しています。一例目は研究コミュニティのメンバーに研究データの適切な取り扱いについて助言するボランティア“Data Champion”の活動促進のためのポストカード作成、二例目はデジタル化されていない学位論文のデジタル化公開を呼び掛けるポスター作成、三例目は新入生向けの図書館紹介リーフレット作成、四例目は本の購入リクエスト受付の広報のためのポストカード作成です。
これらの取組の紹介を通じ、漫画イラストを活用した語り(narrative)が、情報リテラシーに関するアイデアの伝達、ベストプラクティスの奨励において強力な役割を果たすことが示されていると述べています。また、漫画イラストの利点として、読み手のバックグラウンドを問わず重要なメッセージが伝わりやすい点、専門用語や略語を使いがちな図書館員にメッセージをシンプルに伝えるよう促す点等を挙げています。
TROWELL, Clare Louise. Cartooning the Cambridge University Libraries. Journal of Information Literacy. 2021, 15(3), p. 143-161.
https://doi.org/10.11645/15.3.2926