EuropeanaTech、GLAMにおける人工知能の現状等に関する報告書を公開

Europeana Proのウェブサイトに掲載された2021年9月16日付の記事で、美術館・図書館・文書館・博物館(GLAM)における人工知能(AI)の現状等に関する報告書の公開が発表されました。

報告書は、Europeanaの研究開発部門の専門家・開発者・研究者によるコミュニティEuropeanaTechの、デジタル文化遺産分野におけるAIの役割や影響について調査を行うタスクフォース“EuropeanaTech AI in relation to GLAMs Task Force”によるものです。2020年9月にGLAM機関や研究機関を対象に行った調査(回答数56件)と、文化遺産関係の専門家8人へのインタビュー調査の結果がまとめられています。

発表の中では、2020年9月の調査の結果について、91.8%がAIに興味があり、54%が専門的知識を持つと回答した一方、多くの人が、プロジェクトで職員に求められるスキルや適切に注釈が付された訓練用データの欠如等の課題を挙げていたと述べています。インタビュー調査の結果については、文化遺産にとってAIは大きな可能性を持つものの、部局横断的協力の必要性、既存のインフラにAIを組み込む難しさ、倫理的な懸念やAIを活用する価値の実証と伝達する方法に関する懸念等が指摘されたとあります。

その他、同タスクフォースやEuropeanaTech運営委員会が今後取り組むものとして、知識の交換・データ共有・戦略的インプットを挙げています。

New EuropeanaTech Task Force report explores AI in relation to GLAMs(Europeana Pro, 2021/9/16)
https://pro.europeana.eu/post/new-europeanatech-task-force-report-explores-ai-in-relation-to-glams

AI in relation to GLAMs(Europeana Pro)
https://pro.europeana.eu/project/ai-in-relation-to-glams

参考:
E2278 – Europeanaの2020年から2025年の戦略:デジタル変革に力を
カレントアウェアネス-E No.394 2020.07.09
https://current.ndl.go.jp/e2278