記録資料記述における差別表現等の検査(記事紹介)

2021年8月26日、米国のデューク大学図書館のブログに、同大学3年生のMiriam Shams-Rainey氏による、記録資料記述における不適切な言葉の検査に関するプロジェクトについての記事が掲載されました。

Miriam氏は、同大学のDavid M. Rubenstein Rare Book & Manuscript Libraryのコレクションの記述の中に、人種差別・性差別・同性愛嫌悪・植民地主義的な表現等、時代遅れ・不適切な言葉がないか検査するツールの開発に協力しました。

同ツールでは、検査を行いたい単語のリスト(CSV形式)を基に、Encoded Archival Description(EAD)やMARCXML形式の記録資料記述の中に一致する文言がないか検査し、ユーザが手動で分析や対応の検討を行うためのレポートが作成されます。記事の中では、レポートを踏まえて、言葉を用いている主体、文脈、当該の言葉の影響という観点で、対応を検討することが提案されています。

作成されたツールや単語のリスト等は、同館のGitHub上で公開されています。

Auditing Archival Description for Harmful Language: A Computer and Community Effort(Bitstreams, 2021/8/26)
https://blogs.library.duke.edu/bitstreams/2021/08/26/auditing-archival-description-for-harmful-language/

duke-libraries/description-audit(GitHub)
https://github.com/duke-libraries/description-audit

参考:
デューク大学、1960年代の学生新聞をデジタル化:人種差別撤廃関連の記事など
Posted 2013年7月11日
https://current.ndl.go.jp/node/23917

CA1994 – 動向レビュー:絵図・古地図のウェブ公開と差別表現への対応の現状 / 奥野吉宏
カレントアウェアネス No.347 2021年03月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1994

米・ハーバード大学図書館、件名標目“illegal alien”の使用終了を発表
Posted 2021年3月11日
https://current.ndl.go.jp/node/43517

米国議会図書館(LC)、米・オクラホマ大学図書館のタスクフォースによる提案へ合意しLCSHの件名標目“Tulsa Race Riot”を“Tulsa Race Massacre”に変更
Posted 2021年3月25日
https://current.ndl.go.jp/node/43659

米・オハイオ州の図書館コンソーシアムOhioLINK、共有電子リソースのMARCレコードに代替の件名標目を追加:LCSHの“Illegal aliens”の代替として“Undocumented immigrants”など
Posted 2021年5月7日
https://current.ndl.go.jp/node/43934