北米の研究図書館によるコンソーシアムNERL、出版社との契約交渉で採用すべき望ましい価値基準に関する声明を発表

2021年3月3日、北米の研究図書館センター(CRL)を拠点とし30の大学・研究機関の図書館が構成するコンソーシアム“NorthEast Research Libraries Consortium”(NERL)は、声明“NERL Demands a Better Deal”を発表しました。

同声明はNERLが出版社との契約交渉に臨むにあたって、健全な学術出版のエコシステムを実現するために、採用すべき望ましい価値基準を明確化する目的で発表されました。NERLが契約交渉で反映すべき中核的な価値基準として以下の5点を示しています。

・透明性:交渉プロセスの可視化・学術図書館に対するリーダーシップを発揮するため、NERLは可能な限り交渉内容・結果・コストを共有する。契約交渉においては、NERLの透明性に関する取組みに理解を示すベンダーを優先する。

・持続可能性:NERLは持続可能性を最大限確保できる条件で交渉し、共同インフラストラクチャー・共同所有支援の機会を追求する。透明性が高く不要なコンテンツを提供しない小規模な条件を奨励するなど、過去の価格設定モデルや前例にとらわれない契約を優先する。

・公平性:NERLは学術情報流通のエコシステムに知識の生産者として参加するすべての研究者の権利を支援できる条件で交渉する。そのために図書館と出版社の間で障壁を取り除くための連携を要求し、研究者や機関に求められる費用と出版に求められる費用が一致していることを保証しながら、誰もがオープンアクセス出版を利用できるように取り組む。

・再生産性:NERLが交渉する契約は著者の権利を支持し、出版社への強制的な著作権移転の条項が存在しないことや、テキストマイニング等で論文をコンピューターにより利用する権利、機関リポジトリに論文を登録する権利を保証する。

・柔軟性:NERLは学術的成果の普及・保存を支持する有意義で創造的な選択肢を求めており、新興の効率的で持続可能なビジネスモデルによる契約を優先・奨励する。

NERL Issues a Statement Demanding a Better Deal(NERL,2021/3/3)
http://nerl.org/2021/03/03/nerl-issues-a-statement-demanding-a-better-deal/

NERL Demands a Better Deal [PDF:142KB](NERL,2021/3/3)
http://nerl.org/wp-content/uploads/2021/03/Full-NERL-Statement-concerning-negotiations.pdf

参考:
E2312 – デジタルコレクション購入の手引き:英Jiscの4原則
カレントアウェアネス-E No.400 2020.10.15
https://current.ndl.go.jp/e2312

cOAlition S、オープンアクセス(OA)出版費用を設定する際に出版者が遵守すべき「Plan Sに基づく価格透明性のフレームワーク」を公開:2022年7月1日に発効
Posted 2020年5月20日
https://current.ndl.go.jp/node/40988