北米の研究図書館センター(CRL)及び学術図書館コンソーシアムNERL、米・マサチューセッツ工科大学出版局のプログラム“Direct to Open”(D2O)を支援する契約を締結

2021年8月30日、米・マサチューセッツ工科大学出版局は、北米の研究図書館センター(CRL)及び学術図書館コンソーシアムNERLとの間で3年間の契約を締結したことを発表しました。同大学出版局のプログラム“Direct to Open”(D2O)を支援する内容です。

D2Oは、図書館が学術単行書を自館のコレクションに加えるために購入するビジネスモデルから転換し、学術単行書をOA化するために資金を出資するビジネスモデルへ参加する機会を与えるプログラムです。2022年以降、MIT Pressの新刊学術単行書及び新たに選集として刊行する単行書は、D2O参加機関の出資金により全てOA化する予定となっています。

CRLとNERLは、両組織の参加館に対し、D2Oに関するライセンス及び請求の集中管理を行うとしています。2021年9月末までにD2Oコレクションの支援を表明したCRLとNERLの参加館は、コレクション全体の支援か、人文・社会科学又はSTEAM(科学、技術、工学、芸術、数学)分野のコレクションいずれかの支援を選択できます。また、支援するコレクションに対応するMITの過去出版物のバックファイルへのアクセスや、書籍の割引購入も可能になります。

なお、D2Oが2022年の成功水準に到達できなかった場合、参加館にはアーカイブコレクションへの無料アクセスを保証するとあります。

NERL and CRL sign agreement to support Direct to Open from the MIT Press(MIT Press, 2021/8/30)
https://mitpress.mit.edu/blog/nerl-and-crl-sign-agreement-support-direct-open-mit-press

NERL and CRL sign agreement to support Direct to Open from the MIT Press(NERL, 2021/8/31)
http://nerl.org/?page_id=431

参考:
米・マサチューセッツ工科大学出版局、図書館の共同出資により学術単行書の持続可能なオープンアクセス(OA)化を実現するためのプログラム“Direct to Open”(D2O)を開始
Posted 2021年3月9日
https://current.ndl.go.jp/node/43494

英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)、一定の売上を達成した学術単行書をオープンアクセス化するパイロットプロジェクト“Flip it Open”を開始
Posted 2021年7月8日
https://current.ndl.go.jp/node/44380

E2166 – 図書館の共同出資による特別コレクションのOA化事業(米国)
カレントアウェアネス-E No.374 2019.08.08
https://current.ndl.go.jp/e2166

※本文に関し、追記及び誤記の修正を行いました。(2021/9/2)