利用者ニーズを把握・反映するためのインタビュー調査を図書館が効果的に実践するには(文献紹介)

米国図書館協会(ALA)の部会“Core: Leadership, Infrastructure, Futures”が刊行する“Library Leadership & Management”誌の第35巻第1号(2020年)に、ユタ州ブリガムヤング大学(Brigham Young University)の図書館員が執筆した論文“Not Another Survey! Use Interviews Instead to Understand Needs in Your Library”が掲載されています。

同論文は、利用者・利害関係者のニーズを満たした図書館リソースの活用において、図書館に対する評価を不可欠な要素とし、評価において用いられる代表的な手法である「アンケート調査」と「インタビュー調査」について、図書館の文脈でその長所と短所を検討する内容です。

とりわけ「インタビュー調査」について、「アンケート調査」と比べて複雑で時間がかかる一方、定量的な調査では得られない詳細な洞察を得たり、ニーズ自体の理解を深めることも可能であるなどの利点から、利用者ニーズに関する調査として有益な手法であることを指摘し、実践におけるガイドラインを示しています。

個人に対するインタビュー調査の場面を念頭に置いて、インタビューの構成・インタビュー対象者の選出・インタビュー実施者の準備・倫理審査委員会の承認・質問項目の設定・インタビュー本番で必要とされる手続事項・インタビューの録音・インタビューの文字起こし・プライバシーの保護・インタビュー内容をテーマ分類するためのコード設定・インタビュー内容のコード化・インタビュー内容全体の構造化の各場面において、インタビュー実施者が留意すべきポイントが論文内で示されています。

Broadbent, Dan. Not Another Survey! Use Interviews Instead to Understand Needs in Your Library. Library Leadership & Management. 2020, 35(1).
https://journals.tdl.org/llm/index.php/llm/article/view/7447
https://doi.org/10.5860/llm.v35i1.7447

参考:
米国図書館協会(ALA)の新たな部会“Core: Leadership, Infrastructure, Futures”が2020年9月1日に発足:既存の3部会を統合
Posted 2020年7月9日
https://current.ndl.go.jp/node/41470

E1911 – 北米の公共図書館におけるサービスやプログラムの効果を測る
カレントアウェアネス-E No.324 2017.04.27
https://current.ndl.go.jp/e1911

※情報源のURLを追記しました。(2020/01/08)