ORCIDとカーネギー分類を情報源とする米国の高等教育機関の教員の所属変更傾向の分析(文献紹介)

2020年9月10日付で、科学計量学・計量情報学国際学会(ISSI)の公式オープンアクセス(OA)ジャーナル“Quantitative Science Studies”の「受理直後(Just Accepted)」の論文として、“Analyzing academic mobility of U.S. professors based on the ORCID data and the Carnegie Classification”が公開されています。

同論文は、米・ドレクセル大学のヤン(Erjia Yan)氏ら3人の共著で執筆されました。著者らはORCID、及び大学等のカテゴリを示すカーネギー分類を活用して、テニュアを獲得した米国の教員の所属の変更に関する調査を行い、同論文で結果や考察を報告しています。

著者らは5,938人の教員について、機関の類型・立地・地域・機関の資金調達メカニズム・性別の観点から、教員の所属変更の傾向を明らかにすることを試みました。論文では、カーネギー分類でR1やR2に当たる研究集約型の機関への流動性が高いこと、地方から都市部の機関へ所属を移す傾向にあることなどを報告しています。また、女性教員は男性教員と比べて、同一地域内の機関へ所属を移す傾向が強く、より研究集約型の機関へ所属変更する場合、職階を維持したり昇進する割合が少ないことを指摘しています。

Yan, E.; Zhu, Y.; He, J. Analyzing academic mobility of U.S. professors based on the ORCID data and the Carnegie Classification. Quantitative Science Studies. 2020, Advance Publication.
https://doi.org/10.1162/qss_a_00088

参考:
研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA)、大学・研究機関等へ新型コロナウイルス流行中は柔軟に人事・予算等に関する意思決定を行うことを求めた声明を発表
Posted 2020年4月9日
https://current.ndl.go.jp/node/40739

CA1790 – 若手研究者問題と大学図書館界―問題提起のために― / 菊池信彦
カレントアウェアネス No.315 2013年3月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1790