研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA)、大学・研究機関等へ新型コロナウイルス流行中は柔軟に人事・予算等に関する意思決定を行うことを求めた声明を発表

2020年4月6日、研究評価の改善を求める「研究評価に関するサンフランシスコ宣言」(DORA)は、新型コロナウイルスの流行中は、雇用・昇任・資金配分等に関して柔軟な意思決定を行うことを求めた、大学・研究機関等向けの声明を発表しました。

新型コロナウイルスの大流行は、世界中で日常生活に深刻な影響を及ぼし、個人や組織に前例のない状況へ迅速に適応することを迫っており、特に大学や研究機関では劇的な変化を余儀なくされています。従来対面で実施していた授業を遠隔形式とすることを求められ、研究活動は在宅で実施可能なものに限定されたことにより、多くの研究者の生産性低下が見込まれています。また、教育機関の閉鎖の影響を受けたり、感染リスクの高い家族を身近に持つ研究者は、研究生活と家庭生活の見直しを迫られています。

DORAはこのような非常事態において、大学・研究機関は雇用・昇任・テニュア審査等の意思決定プロセスに柔軟性を持つべきであり、特に感染症の流行によって引き起こされた混乱を考慮しなければならないと指摘しています。DORAは全ての大学・研究機関に対して、次のことを要請しています。

・研究者の生産性に対する期待を、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて再定義すること
・雇用・昇任・テニュア審査に関する評価手続きをどのように修正するか、研究者に明確に伝達すること

DORAはすでに行動を実施済の機関の一覧をGoogleスプレッドシート形式で提供しています。また、研究助成機関に対しても、助成金申請者に不安を与えないように、新型コロナウイルスの大流行が引き起こす研究者の生産性への影響を考慮するように呼び掛けています。

DORA statement on hiring, promotion, and funding decisions during the COVID-19 pandemic(DORA,2020/4/6)
https://sfdora.org/2020/04/06/dora-statement-on-hiring-promotion-and-funding-decisions-during-the-covid-19-pandemic/

Tenure clock change due to COVID-19
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1U5REApf-t-76UXh8TKAGoLlwy8WIMfSSyqCJbb5u9lA/

参考:
フィンランド・ヘルシンキ大学、「研究評価に関するサンフランシスコ宣言」(DORA)に署名
Posted 2020年2月21日
https://current.ndl.go.jp/node/40301