北米研究図書館協会(ARL)、ILLサービスに関するCONTUのガイドラインを再検討するためのホワイトペーパー“Modern Interlibrary Loan Practices: Moving beyond the CONTU Guidelines”を公開

2020年8月31日、北米研究図書館協会(ARL)が、ホワイトペーパー“Modern Interlibrary Loan Practices: Moving beyond the CONTU Guidelines”を公開しました。

同ペーパーでは、1970年代に策定されたILLサービスに関するCONTU(著作権のある著作物の新技術による利用に関する全国委員会)のガイドラインは、継続的な再評価・調整が必要とされたものの行われないままとなっており、40年前のジャーナルの価格・学術出版・図書館の収集業務に基づいた時代遅れのものであると評価しており、米国著作権法108条(図書館・アーカイブズでの複写)や107条(フェアユース)といったILLサービスに適用される著作権法を再検討するとともに、CONTUの歴史や法的位置がまとめられています。

ARLでは、同ペーパーが、図書館や図書館協会が、ILLサービス・契約実務・ジャーナルの購入に関して議論するきっかけとなることを期待するとしています。

また、契約業務を担当する図書館員や職員に対して、不必要に、特に不適切に、CONTUのガイドラインの遵守を義務付ける文章がある電子リソースの契約を慎重に再検討するよう推奨し、このような条項は常に削除するか、CONTUのガイドラインの遵守に代わり、単に著作権法の順守を適用するように修正する必要があるとしています。

White Paper Encourages Libraries to Reevaluate Use of CONTU Guidelines in Interlibrary Loan(ARL,2020/8/31)
https://www.arl.org/blog/white-paper-encourages-libraries-to-reevaluate-use-of-contu-guidelines-in-interlibrary-loan/

Modern Interlibrary Loan Practices: Moving beyond the CONTU Guidelines(ARL)
https://www.arl.org/resources/modern-interlibrary-loan-practices-moving-beyond-the-contu-guidelines/
https://www.arl.org/wp-content/uploads/2020/08/2020.08.31-modern-interlibrary-loan-practices-moving-beyond-the-CONTU-guidelines.pdf
※二つ目のリンクがホワイトペーパー本文です[PDF:43ページ]。

参考:
CA1115 – NIIにおける著作権問題の動向 / 上保佳穂
カレントアウェアネス No.211 1997.03.20
https://current.ndl.go.jp/ca1115