北米研究図書館協会(ARL)が、研究図書館間のILLの動向を分析した白書を公開しました。ARLの統計では、相互貸借と複写の依頼とが区別されていないため、全米教育統計センター(NCES)の統計を用いて分析しています。
この白書によると、
・1998年と2004年のデータを比べたとき、全体(Academic Libraries)では、返却不可能型資料(non-returnable。雑誌や会議資料の複写物など)のILLが8%減少し、返却可能型資料(returnable。図書や録音映像資料、マイクロフィルムなど)のILLが26%増加した
・1994/1995年と2004/2005年のデータを比べたとき、Oberlin Group(基礎教養課程の80大学図書館が参加するコンソーシアム)レベルでは返却不可能型資料のILLは18%減少したものの、返却可能型資料のILLが100%増加した
として、いずれもILLが全体として増加したことを紹介しています。増加した理由としては、
・ウェブでのOPAC提供やGoogle等での書籍情報提供により、資料の存在が可視化された
・ILLシステム・処理手続きが改善され、また利用者直接申し込み型(unmediated)ILLなどにより件数が増加した
・資料費の削減及び書籍の価格の高騰により、利用の少ない資料についてよりILLに頼るようになった
などと分析されています。
ARL White Paper on Interlibrary Loan
http://www.arl.org/bm~doc/ARL_white_paper_ILL_june07.pdf
ARL Releases White Paper on Interlibrary Loan
http://www.arl.org/news/pr/ill_white_paper_july07.shtml
参考:
ドキュメント・デリバリー・サービスの将来 <図書館研究シリーズ No.38>
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/series/item.php?itemid=14