オランダ・ILP Lab、文化遺産機関によるウェブサイト収集に関するポリシーペーパーを公開:収集における法的課題や複数国の法制度等を調査

2020年8月28日、オランダのThe Glushko & Samuelson Information Law and Policy Lab(ILP Lab)は、ポリシーペーパー“Web harvesting by cultural heritage institutions”の公開を発表しました。

ILP Labは、オランダ・アムステルダム大学情報法研究所(Institute for Information Law)に属しており、学生が運営するイニシアチブです。欧州の情報法分野において、基本的な権利と自由の保護を踏まえた政策解決の発展・促進に携わっています。

このポリシーペーパーは、ILP Labがオランダ国立図書館及びオランダ視聴覚研究所との協力のもと作成したものであり、文化遺産機関によるウェブサイト収集に関する法制度を策定する際に考慮すべき事項を論じています。作成の背景として、オランダには文化遺産機関がウェブサイト収集を許諾なしに行うための法制度がないためオンラインの文化遺産が収集されず日々失われつつあることを、作成の目的として、現在オランダで進められている法制度導入の検討に資することを挙げています。

各国の法制度の調査では、オーストラリア、デンマーク、フランス、ドイツ、ニュージーランド、英国の計6か国を対象としており、多くの国が納本制度にウェブサイト収集の法的根拠を設けていることや、ウェブサイト収集を可能とする法制度が世界中に広がっていることを指摘しています。また、収集に係る法的課題の調査や、調査を踏まえた提案を行っています。

ILP Lab calls for regulatory action to save the online cultural heritage(ILP Lab, 2020/8/28)
https://ilplab.nl/2020/08/28/ilp-lab-calls-for-regulatory-action-to-save-the-online-cultural-heritage/

Web harvesting by cultural heritage institutions:Towards adequate facilitation and regulation of web harvesting digital content in order to preserve national cultural heritage [PDF:36ページ]
https://ilplab.nl/wp-content/uploads/sites/2/2020/08/ILP-Lab-Policy-Paper-Web-Harvesting-final.pdf

参考:
E1634 – オンライン資料の納本制度の現在(1)フランス
カレントアウェアネス-E No.272 2014.12.12
https://current.ndl.go.jp/e1634

E1662 – オンライン資料の納本制度の現在(2)スウェーデン
カレントアウェアネス-E No.278 2015.03.26
https://current.ndl.go.jp/e1662

E1793 – オンライン資料の納本制度の現在(3)オーストラリア
カレントアウェアネス-E No.302 2016.04.28
https://current.ndl.go.jp/e1793

E1836 – オンライン資料の納本制度の現在(4)韓国
カレントアウェアネス-E No.310 2016.09.01
https://current.ndl.go.jp/e1836

E2062 – オンライン資料の納本制度の現在(5)シンガポール
カレントアウェアネス-E No.355 2018.10.04
https://current.ndl.go.jp/e2062

※タイトル及び本文の一部を修正しました。(2020/9/3)
※本文の一部を修正しました。(2020/10/23)