シンガポール国家図書館委員会法(NLB Bill)の改正法案が可決:オンライン資料が納本対象に

2018年7月9日、シンガポール国会において、シンガポール国家図書館委員会法(NLB Bill)の改正法案が可決しました。

同日付のThe Straits Times紙によると、今回の改正により、NLBでは、著作権者からの書面による同意なく、電子書籍、オンライン雑誌等、電子的形態のみで出版された同国関連出版物の収集が可能となるとのことです。

また、議員からの質問に対するS.Iswaran情報通信大臣の回答に拠れば、ウェブアーカイブに関しては、収集対象は.sgドメインのウェブサイトに限定し、ソーシャルメディアは対象外であり、シンガポール以外のウェブサイトについては許諾を得て収集すると回答しています。収集頻度は年1回で、時事的問題については例外規定が設けられます。加えて、ウェブアーカイブの実施にあたって、インターネット上の音源や映画映像などの収集の問題を解決するために、著作権法の改正も行なうとしています。

一方、国際的な慣行に従って、NLBでは、パスワードで保護されていたり、購読者限定のコンテンツについては収集しないとのことです。また、著作権法改正により、館内のコンピューターで収集コンテンツの利用が可能となったとしても、利用者がそのようなコンテンツをコピー・配布できないようにすると回答しています。

BILLS INTRODUCED(Parliament of Singapre)
https://www.parliament.gov.sg/parliamentary-business/bills-introduced
※“National Library Board (Amendment) Bill”で検索すると「Date Introduced:19.03.2018 Date of 2nd Reading:09.07.2018 Date Passed:09.07.2018」と表示されます。

Parliament: NLB no longer needs written consent to archive online content with ‘historical value’(The Straits Times,2018/7/9)
https://www.straitstimes.com/politics/parliament-nlb-no-longer-needs-written-consent-to-archive-online-content-with-historical

参考:
ベルギー、納本対象をオンライン出版物に拡大
Posted 2017年12月13日
http://current.ndl.go.jp/node/35157

E1836 – オンライン資料の納本制度の現在(4)韓国
カレントアウェアネス-E No.310 2016.09.01
http://current.ndl.go.jp/e1836

E1793 – オンライン資料の納本制度の現在(3)オーストラリア
カレントアウェアネス-E No.302 2016.04.28
http://current.ndl.go.jp/e1793

E1662 – オンライン資料の納本制度の現在(2)スウェーデン
カレントアウェアネス-E No.278 2015.03.26
http://current.ndl.go.jp/e1662

E1634 – オンライン資料の納本制度の現在(1)フランス
カレントアウェアネス-E No.272 2014.12.12
http://current.ndl.go.jp/e1634