欧州国立図書館員会議(CENL)、新型コロナウイルス感染症の拡大や“Black Lives Matter”運動の展開などの社会情勢に対応して2つの基金を設立

2020年8月14日、欧州国立図書館員会議(CENL)は、新たな基金として“Covid-19 Support Fund”、“Hidden Stories Fund”を設立したことを発表しました。

これらの基金の設立は、新型コロナウイルス感染症の拡大とそれに伴うロックダウンが多くの国立図書館の財政基盤やサービスのあり方に影響を与えたこと、米国の黒人男性ジョージ・フロイド氏の殺害事件とそれに続く“Black Lives Matter”運動の展開が、国立図書館における物語の収集・研究・伝達のあり方に歴史的な課題として現れたことを背景に行われました。基金は、この新たな課題へ対応しようとする会員館を支援する意図で設立されています。

“Covid-19 Support Fund”は、加盟館が新型コロナウイルス感染症による危機に関連して直面する課題への対応、長期的な将来に向けた協働体制への適応と再構築を支援するものです。加盟館は、感染症対応のための追加費用や創造的なプロジェクトについて、最大2,500ユーロの助成金を申請することができます。

“Hidden Stories Fund”は、国際図書館連盟(IFLA)の人種差別非難声明へのCENLの支持や、国立図書館のコレクション・イベント・展示会は真に包摂的であらゆるコミュニティを代表することを保証すべきであるという立場に基づいて実施されます。加盟館各国のコレクションにおいて、代表とみなすには不十分な状態にあるコミュニティの資料の収集・保存・調査・明示等のためのプロジェクトを支援することを目的としています。加盟館は、自国の社会の記憶が将来世代まで確実に保存されるように、コレクションへ十分に反映されていないコミュニティとの協力を奨励・支援する様々なプロジェクトの実施を促進するため、最大2,500ユーロの助成金を申請することができます。

New Covid-19 Fund and Hidden Stories Support Fund(CENL,2020/8/14)
https://www.cenl.org/new-covid-19-fund-and-hidden-stories-support-fund/

参考:
米国連邦議会に図書館安定化基金法案が提出される:20億ドルの基金による図書館支援を意図
Posted 2020年7月9日
https://current.ndl.go.jp/node/41471

国際図書館連盟(IFLA)、会長・事務局長名で人種差別を非難する声明を発表
Posted 2020年6月8日
https://current.ndl.go.jp/node/41155

E2284 – 各国の図書館における新型コロナウイルス感染症への対応例
カレントアウェアネス-E No.395 2020.07.30
https://current.ndl.go.jp/e2284