REALM Project、新型コロナウイルスの除染手段としての自然減衰に関する第3回目のテスト結果を公表:ABS樹脂・ポリカーボネート・軟質プラスチック・硬質プラスチック・アクリル素材を調査

2020年8月18日、博物館・図書館・公文書館の職員や利用者への新型コロナウイルスへの影響を軽減するための資料の取扱方法について、科学的根拠に基づいた情報を作成・普及させることを目的としたREALM Projectが、新型コロナウイルスの除染手段としての自然減衰に関する第3回目のテスト結果を公表しました。

標準的な室温(華氏68度から華氏75度)、相対湿度30%から50%の条件で、米国議会図書館(LC)の視覚障害者及び身体障害者のための全国図書館サービスで利用できるABS樹脂製の録音図書・USBカセット、電子情報保存用のポリカーボネート製のDVD、図書館や博物館のキットやギフトショップの袋でで用いられる軟質プラスチック・低密度ポリエチレン、資料の運搬・保存容器として用いられる硬質プラスチック・高密度ポリエチレン、展示ケースやパーテーションに用いられるアクリル製のプレキシガラス、の5つの素材を対象に行ったテスト結果が発表されています。

調査結果として、積み重ねていない状態で5日間隔離したところ、新型コロナウイルスはDVDや軟質プラスチック製の保存袋からは検出されなかったとしています。また硬質プラスチック製の保存容器・プレキシガラス・USBカセットにおいては5日目にもウイルスが検出されたとしています。

1回目・2回目の結果もふまえて、プラスチック製のものについて、自然減衰のみでウイルスを未検出の状態とするには、若干長めの隔離期間が必要であることが示唆されるとしています。代案としては、無孔性の素材であることを根拠に、適切な液体消毒を行うことで、隔離よりも迅速に除染ができるかもしれないとしています。ただし、洗浄剤や消毒液には表面や素材に損害を与える可能性があるものがあるので、例えば、国立公園局(National Park Service)の展示およびコレクションの消毒の手引きを参考にするよう求めています。

REALM Project update: Test 3 Results Announced(OCLC Research,2020/8/18)
https://www.oclc.org/research/news/2020/realm-project-test-three-results-announced.html

REALM Project Test 3 Results Available(OCLC WebJunction,2020/8/18)
https://www.webjunction.org/news/webjunction/test3-results.html
https://www.webjunction.org/content/dam/WebJunction/Documents/webJunction/realm/test3-report.pdf
※二つ目のリンクが調査結果の本文です[PDF:4ページ]。

関連:
COVID 19 Exhibitry Cleaning Guidance(National Park Service)
https://www.nps.gov/subjects/hfc/covid-19-exhibitry-cleaning-guidance.htm

参考:
REALM Project、新型コロナウイルスの除染手段としての自然減衰に関する第2回目のテスト結果を公表:点字用紙・光沢紙・雑誌の用紙・ボードブック・アーカイバルフォルダを対象に実施
Posted 2020年7月21日
https://current.ndl.go.jp/node/41554

REALM Project、新型コロナウイルスの除染手段としての自然減衰に関する第1回テストの結果を公表:図書館で一般的に見られる資料に用いられる5つの素材において3日後には未検出
Posted 2020年6月23日
https://current.ndl.go.jp/node/41295