2020年9月3日、博物館・図書館・公文書館の職員や利用者への新型コロナウイルスへの影響を軽減するための資料の取扱方法について、科学的根拠に基づいた情報を作成・普及させることを目的としたREALM Projectが、新型コロナウイルスの除染手段としての自然減衰に関する第4回目のテスト結果を公表しました。
今回の実験では、対象となった5つの素材のうち、第1回目のテストで実施した、ハードカバーの表紙、ペーパーバックの表紙、プラスチック製の本の保護カバー、DVDのケースを、返却ボックスや書架上での保管をシミュレーションするために積み重ねた状態で実験しました。残りの1つは、博物館・美術館の展示・保管・移送に用いられる発泡ポリエチレンで、これは積み重ねずに実験されました。実験は、標準的な室温(華氏68度から華氏75度)、相対湿度30%から50%の条件で行われています。
実験結果として、5つ全ての素材で、6日間の隔離後も、新型コロナウイルスが検出されたとしています。積み重ねない状態で行ない3日後には検出されなかった第1回目のテストと比較すると、積み重ねることによる新型コロナウイルスの生存期間を延ばす効果が認められるとしています。
液体消毒による除染は、資料の劣化を引き起こすなどの不適切な場合もあるので、より長い隔離期間を検討するか、より迅速な除染を促すものを調べるための他の調査が必要となるかもしれないとしています。また、同プロジェクトが、2020年10月に公開予定の文献レビューでは、熱・紫外線・他の消毒方法の効果について、公表されている研究を対象に調査しているとしています。
REALM Project update: Test 4 Results Announced(OCLC Reserach,2020/9/3)
https://www.oclc.org/research/news/2020/realm-project-test-four-results-announced.html
REALM Project Test 4 Results Available(OCLC WebJunction,2020/9/3)
https://www.webjunction.org/news/webjunction/test4-results.html
https://www.webjunction.org/content/dam/WebJunction/Documents/webJunction/realm/test4-report.pdf
※二つ目のリンクはテスト結果の本文です[PDF:4ページ]。
Scientists Find Virus Still Detectable After Six Days on Four Common Library Materials When Stacked(IMLS,2020/9/3)
https://www.imls.gov/news/scientists-find-virus-still-detectable-after-six-days-four-common-library-materials-when
参考:
REALM Project、新型コロナウイルスの除染手段としての自然減衰に関する第3回目のテスト結果を公表:ABS樹脂・ポリカーボネート・軟質プラスチック・硬質プラスチック・アクリル素材を調査
Posted 2020年8月19日
https://current.ndl.go.jp/node/41777
REALM Project、新型コロナウイルスの除染手段としての自然減衰に関する第2回目のテスト結果を公表:点字用紙・光沢紙・雑誌の用紙・ボードブック・アーカイバルフォルダを対象に実施
Posted 2020年7月21日
https://current.ndl.go.jp/node/41554
REALM Project、新型コロナウイルスの除染手段としての自然減衰に関する第1回テストの結果を公表:図書館で一般的に見られる資料に用いられる5つの素材において3日後には未検出
Posted 2020年6月23日
https://current.ndl.go.jp/node/41295