ユーザー作成コンテンツの著作権に関するEuropeanaの考え方:文字起こし、アノテーション、字幕等(記事紹介)

Europeana Proに掲載された2020年8月12日付け記事で、ユーザー作成コンテンツの著作権に関するEuropeanaの考え方が紹介されています。筆者はEuropeana財団のJunior Policy AdvisorであるAriadna Matas氏です。

Europeanaが、クラウドソーシングのプロジェクト等を通じてユーザーによるコンテンツの文字起こし、アノテーション付与、エンリッチメントを進めてきたことに触れつつ、これらのユーザー作成コンテンツの著作権をどう扱うかについてEuropeanaとしての考え方を示しています。

アノテーションとエンリッチメントについては、Europeanaのデータパートナーから提供されるメタデータと同じ扱いとし、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのCC0での提供とすべきとしています。一方、文字起こしと字幕については、それらが基づくコンテンツの知的財産権を尊重し、データパートナーがコンテンツに設定した権利ステートメントと同条件での提供としています。

また、今後コンテンツの文字起こしや字幕付与を促進するに当たっては、データパートナーがコンテンツに設定した権利ステートメントと、オープンライセンスのコンテンツの利用を奨励したいというEuropeana側の意思に基づいて決定すべきとし、PDM、CC0、CC BY、CC BY-SAのライセンス付与がなされたコンテンツの文字起こしや字幕付与に注力するのが最善と考えている、と述べています。

Europeanaでは、ユーザーに対してこれらのアプローチを明確に示すため、文字起こしや字幕付与により発生しうる知的財産権を主張しないよう求めるなど、ユーザーによる貢献に関する規約“Terms for User Contributions”を改定する方針を示しており、広く一般に対し方針へのフィードバックを求めています。

Transcriptions, subtitles and enrichments: sharing our copyright approach(Europeana Pro, 2020/8/12)
https://pro.europeana.eu/post/transcriptions-subtitles-and-enrichments-sharing-our-copyright-approach

参考:
E2183 – 公開10年となるEuropeanaの動向:2018年年次報告書を中心に
カレントアウェアネス-E No.377 2019.10.10
https://current.ndl.go.jp/e2183

E2278 – Europeanaの2020年から2025年の戦略:デジタル変革に力を
カレントアウェアネス-E No.394 2020.07.09
https://current.ndl.go.jp/e2278

CA1973 – 動向レビュー:Rights Statementsと日本における権利表記の動向 / 数藤雅彦
カレントアウェアネス No.343 2020年3月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1973