オックスフォード大学出版局及びケンブリッジ大学出版局(英国)、人文学・社会科学の研究者から見た単行書というメディアへの評価に関する共同調査プロジェクトの報告書を公表

2019年10月1日、英・ケンブリッジ大学出版局は、英・オックスフォード大学出版局と連名で、研究者から見た単行書というメディアへの評価に関する共同調査プロジェクトの報告書“Researchers’ perspectives on the purpose and value of the monograph: Survey results 2019”を公表しました。

調査対象は人文学・社会科学の研究者であり、2019年6月28日から7月10日にかけてアンケート形式で実施され、合計5,000件近くの回答が寄せられました。報告書では最初に、キャリアの段階や学問分野、専門領域、地域、年齢、執筆した出版物の種類、出版した単行書の冊数といった回答者の属性をまとめており、ほぼ4分の3が“Senior lecturer/Associate professor”以上のキャリアにあること、過半数は人文学の研究者であること、大多数が米国及び英国を中心とした欧州の研究者であること等が示されています。

報告書では調査結果の要点として、人文学・社会科学分野において、単行書が引き続き重要な役割を担っていること、論文とともに最新研究の普及と議論のための主要媒体であること、単行書は研究の「組織化原理」(organising principle)であり、単行書の執筆作業が研究そのものを支援する役割を果たしていること、単行書は今後も引き続き重要な役割を担うと考えられているが、進化も求められていること等を紹介しています。

Oxford University Press and Cambridge University Press find that the monograph continues to play a crucial role for researchers(Cambridge University Press, 2019/10/1)
https://www.cambridge.org/about-us/news/oxford-university-press-and-cambridge-university-press-find-monograph-continues-play-crucial-role-researchers/

Researchers’ perspectives on the purpose and value of the monograph: Survey results 2019[PDF:40ページ]
https://www.cambridge.org/jp/files/7215/6992/3022/CUP_and_OUP_Researchers_perspectives_on_the_monograph_-_2019_survey_011019.pdf

参考:
Springer Nature社、学術書のオープンアクセス出版に関する研究者の考え方を調査したホワイトペーパーを公表:世界の学術書著者2,542人が調査対象
Posted 2019年6月21日
https://current.ndl.go.jp/node/38411

Ithaka S+R、大学出版局において単行書出版にかかるコストを分析したレポートを公開
Posted 2016年2月15日
https://current.ndl.go.jp/node/30737

OAPEN-UK、人文・社会科学研究者のモノグラフの利用について調査結果を発表
Posted 2014年10月6日
https://current.ndl.go.jp/node/27166

ケンブリッジ大学出版局(CUP)、雑誌論文とするには長すぎ、図書とするには短すぎる原稿を対象とするデジタル・オンデマンド出版”Cambridge Elements”を開始
Posted 2019年1月22日
https://current.ndl.go.jp/node/37427