Springer Nature社、学術書のオープンアクセス出版に関する研究者の考え方を調査したホワイトペーパーを公表:世界の学術書著者2,542人が調査対象

2019年6月19日、Springer Nature社は、ホワイトペーパー“The future of open access books: Findings from a global survey of academic book authors”の公開を発表しました。

2019年2月から3月にかけて、世界の学術書著者2542人を対象に、学術書のオープンアクセス(OA)出版に関する考え方について調査した結果をまとめたものです。

調査により得られた主な知見として、以下の点が挙げられています。

・過半数の著者は、将来の学術書は全てOAとすべきであるという考えを支持している。
・OAへの支持は若手研究者、欧州及びアジアの研究者、過去にOA出版の経験がある研究者により強く見られる。
・倫理的理由(アクセスの公平性)とより多くの読者獲得が、OA出版を選ぶ主な動機となっている。
・過半数の著者は、学術書のOA出版へのより多くの助成を求めている。
・出版に際してはOAポリシーのうちゴールドOAが最も好まれている。
・出版社の評判はOA出版の著者にとってさほど重要ではなくなっているが、それでも依然として出版の決定要因となっている。

また、OA出版を望む著者にとって助成の不足が未だに大きな障壁となっているとし、助成機関に対し一層の支援を呼びかけるとともに、学術コミュニケーション関連業界に対し、学術書のOA出版を実現するための多様な方法を調査するよう勧めています。

The future of scholarly books is open (access)(Springer Nature, 2019/6/19)
https://group.springernature.com/gp/group/media/press-releases/future-of-the-scholarly-book-is-open-access/16812330

学術書籍の未来は、オープン(アクセス)に(natureasia.com, 2019/6/19)
https://www.natureasia.com/ja-jp/info/press-releases/detail/8735

The future of open access books: Findings from a global survey of academic book authors(figshare)
https://figshare.com/s/a11075d04d333dba4ee0

参考:
Digital Science社、オープンアクセス(OA) の単行書に関する現状調査報告書を公表
Posted 2019年6月12日
http://current.ndl.go.jp/node/38327

Open Research Library (BETA)が公開:OAの単行書を単一のプラットフォームで利用可能に
Posted 2019年5月27日
http://current.ndl.go.jp/node/38231

CA1907 – 動向レビュー:欧州における単行書のオープンアクセス / 天野絵里子
カレントアウェアネス No.333 2017年9月20日
http://current.ndl.go.jp/ca1907