2019年7月25日、米国図書館協会(ALA)は大手出版社Macmillan社の新しい電子書籍貸出モデルを非難する声明を発表しました。
Macmillan社の新しい電子書籍貸出モデルでは、新刊書は各図書館1冊までしか購入できず、2冊目以降の購入は刊行から8週間のエンバーゴが設けられます。ALA会長のWanda Brown氏は、図書館の新規タイトルへのアクセスを制限することは、情報アクセスを図書館に依存する人々への情報アクセスの制限と同義であり、全ての人への情報アクセスを保証するという図書館の中心的使命を脅かすものであるとコメントし、同社の方針を受け入れることはできず、エンバーゴの撤回を求めています。
Macmillan社の新しい電子書籍貸出モデルは、2018年7月に同社傘下のTorが電子書籍新刊の図書館への販売を事前予告なく4ヶ月遅らせた措置を拡張するものであり、ALAは2018年7月当時も販売の遅延は図書館の読者と作家への献身を損なうものであるという声明を発表しています。
2018年秋以来、米国の五大出版社は図書館への電子書籍提供について、永続的アクセス権を付与するモデルから購読制モデルに切り替えるなどモデル変更を進めていますが、Macmillan社のみ提供モデルにエンバーゴを設定しています。また、Macmillan社のモデルは1冊目のタイトルについては価格が30ドルに引き下げられ、他の五大出版社とは異なり永続的アクセス権が付与されますが、エンバーゴ期間後に利用可能な2冊目以降のタイトルについては、他社同様に2年間の購読制(価格は1冊当たり60ドル)となります。
ALA denounces new Macmillan library lending model, urges library customers to voice objections(ALA,2019/7/25)
http://www.ala.org/news/press-releases/2019/07/ala-denounces-new-macmillan-library-lending-model-urges-library-customers
参考:
Macmillan社傘下のTorが電子書籍の新刊の図書館への販売を4ヶ月遅らせると発表したことに対し、米国図書館協会(ALA)が声明を発表:カナダ都市図書館協議会(CULC)は書簡を送付
Posted 2018年7月24日
http://current.ndl.go.jp/node/36377
米国図書館協会(ALA)、出版大手Hachette Book Group(HBG)の発表した図書館向け電子書籍・オーディオブックの貸出モデル変更に懸念を表明
Posted 2019年7月8日
http://current.ndl.go.jp/node/38530