2019年6月18日、オーストラリア国立大学(ANU)は1861年から1928年における国内6図書館の貸出記録をデータベース化し“Australian Common Reader”として、大学のウェブサイトで公開したことを発表しました。
大学の発表によると、図書館の貸出記録データベースとしては世界最大のもので、19世紀末から20世紀初頭のオーストラリアにおける読書習慣を明らかにするものである、としています。
このデータベースは2008年に西オーストラリア州のカーティン大学によって構築され、2014年以降、ANUのSchool of Literature, Languages and Linguistics所属の研究者であるラモンド(Julieanne Lamond)氏と同大学のデジタル人文学研究センター(Centre for Digital Humanities Research)の共同運営によって管理されています。
データベース上では、貸出された図書館、職業、利用者の性別によるフィルタリングや特定の本・利用者の検索、検索結果のエクスポート等の操作を行うことができます。
このデータベースによって得られたオーストラリアにおける読書傾向の一例として、女性に最も人気のあった図書はウェールズ語著者のレイン(Allen Raine)による“On the wings of the wind”であったこと、男性向けで最も人気のあった資料は、チャールズ・ディケンズの編集による、短編小説や労働者階級向け記事を取り扱う週刊誌“Household Words”であったこと、最も多くの貸出をした利用者は1897年から1907年の期間に877回の貸出を行っていたこと、などが紹介されています。
Past page turners given fresh shelf life with new website(ANU,2019/6/18)
https://www.anu.edu.au/news/all-news/past-page-turners-given-fresh-shelf-life-with-new-website
About(Australian Common Reader)
http://australiancommonreader.com/spotlight/australian-common-reader/feature/about
Australian Common Reader(ANU)
http://australiancommonreader.com/spotlight/australian-common-reader
参考:
韓国国立中央図書館(NLK)、公共図書館の約2年間の貸出しデータを用いて行なった20代に人気のある図書の分析結果を発表
Posted 2019年5月22日
http://current.ndl.go.jp/node/38204
E1521 – 1840年代のロンドン図書館とフランス小説の受容<文献紹介>
カレントアウェアネス-E No.252 2014.01.23
http://current.ndl.go.jp/e1521
E1588 – 労働者階級女性の図書館利用:ハダスフィールドの事例から
カレントアウェアネス-E No.263 2014.07.24
http://current.ndl.go.jp/e1588
E1716 – テクノロジーが拓く読書史研究の可能性<文献紹介>
カレントアウェアネス-E No.289 2015.10.01
http://current.ndl.go.jp/e1716