Springer Nature社、Nature Index 2019 Annual Tablesを公開

Springer Nature社は2019年6月19日付のプレスリリースで、82の高品質科学ジャーナルに掲載された論文を基にした研究者所属情報に関するデータベースNature Indexが、2018年1年間に発表された研究成果に基づいてNature Index 2019 Annual Tablesを公開したことを発表しました。

公開されたNature Index 2019 Annual Tablesでは以下のようなことが示されています。

・国別研究力ランキング(The top 10 countries that dominate natural-sciences research)では、第1位が米国で、第2位の中国や第3位のドイツを大きく引き離していること
・機関別研究力ランキング(The top 10 global institutions for 2018)では、中国科学院、米・ハーバード大学、独・マックスプランク協会の上位3機関が前年のランクを維持したこと
・規模の異なる機関を同じ基準で比較できるように、Nature Indexにおけるある論文への各共著者の相対的貢献度を示す指標Fractional count(FC)を、機関が発表した自然科学分野における総論文数で割ることで正規化した指標 Normalized FCに基づくランキング(Top 10 academic institutions in 2018: normalized)では、第1位が米・コールド・スプリング・ハーバー研究所(CSHL)、第2位がイスラエルのワイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science)、第3位がオーストリア科学技術研究所(Institute of Science and Technology Austria)となり、上位の研究機関が通常のランキングとは全く異なっており、著名な研究機関は通常のランキングと比較してそのランクを落としていること

日本については以下のようなことが示されています。

・国別研究力ランキングでは世界第5位で、FCの減少率が上位10カ国の中でフランスに次いで2番目に大きいこと
・東京大学が機関別研究力ランキングで第9位にランク入りしたものの、FCの減少率が上位10機関の中で最も大きいこと
・正規化した指標に基づくランキングで、沖縄科学技術大学院大学(OIST)が第9位(通常のランキングでは第360位)にランク入りし、日本の研究機関で唯一上位10位以内に入ったこと
・正規化した指標に基づくランキングでは、東京大学、京都大学、大阪大学、名古屋大学が上位100位以内に入っているものの、いずれも通常のランキングよりランクを落としていること

Springer Nature社は、Natureの2019年6月20日号でFC上位20機関、Nature Indexの各主要分野の上位10機関や上位の国・地域のデータを視覚化した図を掲載した特別冊子を発行しています。また、Natureのウェブサイト上で、生命科学、化学、物理科学、地球環境科学、正規化されたトップ10など、7つのカテゴリーに関するトップ10ランキングを掲載しています。さらに、Nature Indexのウェブサイト上では、トップ10の政府機関やトップ10の医療機関などに焦点を合わせたカテゴリー別ランキングが掲載されています。

Size is not everything according to latest Nature Index annual tables(Springer Nature,2019/6/19)
https://group.springernature.com/gp/group/media/press-releases/size-is-not-everything-according-to-latest-nature-index-annual/16818258

Nature Index 2019 Annual Tables(Nature Index)
https://www.natureindex.com/annual-tables/2019

Nature Index. Nature Index 2019 Annual tables. Nature. 570(7761), 2019.
https://www.nature.com/nature/volumes/570/issues/7761#NatureIndex

研究機関は規模が全てではないことが、Nature Indexの最新ランキングで明らかに(natureasia.com,2019/6/20)
https://www.natureasia.com/ja-jp/info/press-releases/detail/8736

OISTが世界の研究機関ランキングで日本一に ー Nature Index正規化ランキング(OIST,2019/6/20)
https://www.oist.jp/ja/news-center/press-releases/34019

参考:
Nature Index 2019日本補遺編公開 国際共著は増加しているものの、研究成果の減少を食い止めるには不十分
Posted 2019年3月26日
http://current.ndl.go.jp/node/37862

Nature Index 2016公開
Posted 2016年4月26日
http://current.ndl.go.jp/node/31458

※誤りが訂正された更新版の発表(*)に伴い、本文の一部を修正しました(2019/8/13)
 (ワイツマン科学研究所・オーストリア科学技術研究所・沖縄科学技術大学院大学の順位)
* Top 10 academic institutions in 2018: normalized(Springer Nature,2019/8/12(Correction))
 https://www.nature.com/articles/d41586-019-01924-x