カリフォルニア大学、Elsevier社の雑誌の購読を停止することを発表

2019年2月28日、カリフォルニア大学は、今後のElsevier社の出版物の購読を停止することを発表しました。同学は同社との交渉において、公的資金を得た研究成果のOA化と、商業学術出版の増大するコストを安定化することを目指していましたが、契約条件が折り合わなかったとしています。大学側は購読料とOA出版料の一体化させるいわゆる“publish and read”契約を希望していますが、出版社との合意に至りませんでした。

同社の2019年1月1日までに刊行された出版物は、同学から恒久的にアクセスできるものがほとんどであるとし、同学のOffice of Scholarly Communicationは、一部のアクセスできないタイトルや2019年1月以降に発行された出版物を入手するための対策を発表しています。

カリフォルニア大学の声明によると、大学全体で執筆される学術出版物は米国全体の約10パーセントを占めており、Elsevier社は同学の教員による論文の18パーセントを発行しています。今回の発表に対してElsevier社は、交渉の再開を望むコメントを発表しています。

UC terminates subscriptions with world’s largest scientific publisher in push for open access to publicly funded research(University of California,2019/2/28)
https://www.universityofcalifornia.edu/press-room/uc-terminates-subscriptions-worlds-largest-scientific-publisher-push-open-access-publicly

University of California Academic Council Statement on the University’s Negotiations with Elsevier Publishing(University of California,2019/2/28)[PDF:3ページ]
https://senate.universityofcalifornia.edu/_files/reports/academic-council-statement-elsevier-feb28.pdf

UC and Elsevier(Office of Scholarly Communication University of California)
https://osc.universityofcalifornia.edu/open-access-at-uc/publisher-negotiations/uc-and-elsevier/

@ElsevierConnect(Twitter,2019/3/1)
https://twitter.com/ElsevierConnect/status/1101265584266928129

参考:
カリフォルニア大学がOA方針を拡大
Posted 2015年10月28日
http://current.ndl.go.jp/node/29789

カリフォルニア大学全校でのオープンアクセス方針採択のその後(記事紹介)
Posted 2016年7月8日
http://current.ndl.go.jp/node/32030

米カリフォルニア大学出版局が新たに創刊するOAメガジャーナルで査読者と編集者に謝礼を支払うことを発表
Posted 2015年1月13日
http://current.ndl.go.jp/node/27783