2019年11月21日、米・ペンシルベニア州のカーネギーメロン大学は、Elsevier社とオープンアクセス（OA）出版モデルへの「転換契約（transformative agreement）」を締結したことを発表しました。米国の大学と同社の「転換契約」締結は初めての事例となります。
契約に基づき、カーネギーメロン大学の研究者はElsevier社の全ての学術雑誌にアクセスすることが可能になります。また、2020年1月1日以降、Elsevier社を通じて公表された、責任著者が同大学の所属者である論文は、追加費用の支払不要でOA化することが可能になります。
カーネギーメロン大学のElsevier社とのライセンス契約は2018年12月31日に期限を迎えていましたが、同大学は2018年中から同社とOA化の保証を含む新たな契約交渉に従事しており、契約期限後も同社のジャーナルへのアクセスが維持されたまま議論が続けられていました。
カーネギーメロン大学図書館は同館ウェブサイト内にFAQを設けるなどして、大学構成員向けにこの契約と研究へ与える影響に関する情報提供を進めています。
Elsevier社との転換契約締結を目指す米・カリフォルニア大学は、このカーネギーメロン大学と同社の契約締結について声明を発表しています。カリフォルニア大学は声明の中で、カーネギーメロン大学の画期的な契約締結の成功を祝福するとともに、今回の契約締結はElsevier社が他の米国の研究大学とも転換契約を署名する準備ができていることを示す兆候であることを期待する、と言及しています。
Carnegie Mellon Publishing Agreement Marks Open Access Milestone（Carnegie Mellon University，2019/11/21）
https://www.cmu.edu/news/stories/archives/2019/november/cmu-publishing-agreement-milestone.html
CMU, Elsevier Reach Transformative Deal（Carnegie Mellon University Libraries，2019/11/21）
https://www.library.cmu.edu/about/publications/news/cmu-elsevier-reach-transformative-deal
FAQ（Carnegie Mellon University Libraries）
https://www.library.cmu.edu/cmu-elsevier/faq
※カーネギーメロン大学図書館が図書館ウェブサイト内に作成した同契約に関する大学構成員向けのFAQです。
University of California statement on Carnegie Mellon University’s transformative open access agreement with Elsevier（University of California，2019/11/21）
https://osc.universityofcalifornia.edu/2019/11/cmu-statement/
参考：
カリフォルニア大学、Elsevier社の雑誌の購読を停止することを発表
Posted 2019年3月5日
https://current.ndl.go.jp/node/37717
ハンガリーのコンソーシアムEISZとElsevier社、オープンアクセス（OA）出版等に関する試験的なナショナルライセンス契約を締結
Posted 2019年11月1日
https://current.ndl.go.jp/node/39412
ノルウェー・Unitが組織するコンソーシアム、Elsevier社と試験的なナショナルライセンス契約を締結
Posted 2019年4月26日
https://current.ndl.go.jp/node/38102
フィンランドのコンソーシアム“FinELib”とElsevier社が契約締結で合意
Posted 2018年1月18日
https://current.ndl.go.jp/node/35333
