米国図書館協会(ALA)の一部門である児童図書館サービス部会(ALSC)が、ニューオーリンズで開催中のALA年次総会において、ALSCが選定する児童文学に関する賞、”Laura Ingalls Wilder Award”の名称を、”Children’s Literature Legacy Award(児童文学遺産賞)”とすることを決定しました。2018年6月25日付けでALA会長・ALSC部会長の連名による声明が発表されています。
Laura Ingalls Wilderは”Little house on the Prairie”(邦題:『大草原の小さな家』)としてドラマ化もされた、自叙伝的小説”Little House books”シリーズ等で知られる人物です。その名を冠した”Laura Ingalls Wilder Award”は同氏の死後に創設された賞で、米国で出版された、長年にわたって児童文学に大きな影響を与え続けている図書の著者やイラストレーターに与えられてきました。
今回発表された声明によれば、Wilderの図書には1800年代の入植者の経験と価値観が反映されており、その先住民や有色人種に対する態度は、現代の多様なコミュニティを受け入れ、称え合い、理解しようという価値観にはそぐわないものであるとされています。
なお、今回の変更は賞の名前をALSCの現在の主要な価値観と合致させるためのものであって、検閲等を意図するものではないことが声明では強調されています。読者がWilderの図書に関する自身の思いを変えることや、Wilderの図書を読んだり、語り合ったり、子どもが読めるようにすることを止めるように要求するものではないとのことです。また、賞名の変更は、過去の受賞者の栄誉や業績を傷つけるものでもない、ともされています。
ALA, ALSC respond to Wilder Medal name change (ALA news、2018/6/25付け)
http://www.ala.org/news/press-releases/2018/06/ala-alsc-respond-wilder-medal-name-change
About the Children’s Literature Legacy Award (ALSC)
http://www.ala.org/alsc/awardsgrants/bookmedia/wildermedal/wilderabout