2015年10月10日、「舞鶴への生還」と国宝「東寺百合文書」が、ユネスコの記憶遺産として登録が決定されました。
「舞鶴への生還」は、第二次世界大戦の敗戦に伴い、ソ連領に抑留された約60万人から約80万人といわれる日本軍人と民間人たちの抑留生活と日本本国への引き揚げの歴史を伝える資料で、日記、手紙・はがき類、手作りの手帳、絵画、名簿類、証明書類等、570点の資料から構成されます。
「東寺百合文書」は、1,000年以上にわたり、東寺(教王護国寺)に伝来した約2万5千通の文書で、仏教史、寺院史、寺院制度史研究上に貴重であるのみならず、中世社会の全体構造を解明する基本史料として質量ともに最も優れた文書史料群とのことです。平安時代以来の伽藍を中心とした鎮護国家の修法・祈祷などの諸仏事・法会を運営するための文書記録、それらを維持するための寺院運営に関する評定引付、それらの基礎となる教義に関するもの、大師信仰を支えるものなどで、寺院活動を包括的に知り得る文書のほか、東寺が全国各地に領有した荘園に関する文書から構成されます。1967年から京都府の所有となり、1997年に国宝に指定されています。
New inscriptions on the International Memory of the World Register (2014-2015)(UNESCO)
http://www.unesco.org/new/en/communication-and-information/flagship-project-activities/memory-of-the-world/register/access-by-year/new-inscriptions-on-the-international-memory-of-the-world-register-2014-2015/
「舞鶴への生還」「東寺百合文書」のユネスコ記憶遺産登録決定について(文部科学省,2015/10/10)
http://www.mext.go.jp/unesco/001/2015/1362505.htm
「東寺百合文書」のユネスコ世界記憶遺産登録決定について(京都府)
http://www.pref.kyoto.jp/shiryokan/toji_20151010.html
参考:
「御堂関白記」と「慶長遣欧使節関係資料」がユネスコ記憶遺産に登録決定
Posted 2013年6月21日
http://current.ndl.go.jp/node/23775
E1561 – 京都府立総合資料館による東寺百合文書のWEB公開とその反響
カレントアウェアネス-E No.259 2014.05.22
http://current.ndl.go.jp/e1561