2015年6月11日、米国国立衛生研究所(NIH)は、米国国立医学図書館(NLM)のワーキンググループによる最終報告書を承認しました。
この最終報告書は、ワーキンググループがNLMに関する各種文書類の調査やNLMの首脳部との意見交換、パブリックコメントなどを行なった結果をまとめたもので、NLMが生物医学や保健衛生に関して国際的に指導的な立場をとることを維持するための戦略的ビジョンを発表したものとのことです。
この報告書(戦略的ビジョン)では、NLMについて、以下の6つの提言が挙げられています。
(1)アクセシブルかつ信頼性の高い生物医学に関する研究結果及び信用性のある保健衛生情報を収集し、一般大衆、医療専門家、世界中の研究者に普及させる上での主導的立場を取り、常に進化し続けなければならない
(2)生物医学の情報と透明性をもった分析は公共財であるという概念を普及するよう努め、オープンサイエンス、データ共有、研究の再生産等を支援する取組みを先導して行うべきである
(3)NIHにおけるデータ科学に関する知識やプログラムの中心であるべきであり、生物医学に関する研究等を通じて、NIHの振興を図るべきである
(4)継続的かつ集中的な研修を通じ、生物医学情報学やデータ科学、図書館学その他の関連分野における次世代の研究者を育成し、NLMの役割を強めるべきである
(5)長期利用を可能とするために、米国の歴史を通じた、生物医学の研究や医学の向上に関する業績を維持管理、保存し、それらをアクセシブルにするべきである
(6)NLMの首脳部は、NLMがその使命を十分に果たし、その資源を最善の形で配置するために、どのような才能や資源、組織構造が必要であるか評価する必要がある
NIH approves strategic vision to transform National Library of Medicine(NIH, 2015/6/11)
http://www.nih.gov/news/health/jun2015/od-11.htm
FINAL REPORT(NLM Working Group, 2015/6/11)
http://acd.od.nih.gov/reports/Report-NLM-06112015-ACD.pdf
National Library of Medicine Working Group – Interim Briefing about the Final Report(NLM Working Group)
http://acd.od.nih.gov/reports/Report-NLM-06112015-slides.pdf
参考:
米国国立衛生研究所(NIH)、パブリックアクセス方針についてのウェブセミナーを開催
Posted 2014年8月12日
http://current.ndl.go.jp/node/26780
E1508 – 図書館員の役割はどう変化してきたか:健康科学分野を例に
カレントアウェアネス-E No.249 2013年11月21日
http://current.ndl.go.jp/e1508