ハゲタカ出版がインドの魚類学に与える影響(文献紹介)

インドの総合学術誌Current Science誌の第107巻5号(2014年9月10日発行)に、”Predatory journals and Indian ichthyology”と題したオピニオン論文が掲載されています。この論文は論文処理費用(APC)を得ることだけを目的に、まともな査読をせずに論文を掲載する、いわゆる「ハゲタカ出版」がインドの科学研究に与える影響について、魚類の分類に関する研究を例に問題提起するものです。

同論文によれば、インドにおいては研究の質よりも量を重視した研究評価指標が導入されたこと等により、研究者がハゲタカ出版者の雑誌に論文を掲載するようになり、インドは世界最大のハゲタカ出版の基地と化している、と指摘しています。また、分類学では新種発見者として自分の名前を残したいがためにハゲタカ出版で論文を発表する者がいること等も指摘した上で、具体的にハゲタカ出版者の雑誌にどのような論文が掲載されているのかを、実際に掲載された魚類学の論文を例に紹介しています。

Raghavan, Rajeev et al. (2014) Predatory journals and Indian ichthyology. Current Science 107(5), p.740-742. http://www.currentscience.ac.in/Volumes/107/05/0740.pdf

参考:
単なる“金もうけ”の疑いのあるオープンアクセス出版社のリスト(2014年版) Posted 2014年1月7日
http://current.ndl.go.jp/node/25205

CA1829 – 査読をめぐる新たな問題 / 佐藤翔 カレントアウェアネス No.321 2014年9月20日
http://current.ndl.go.jp/ca1829