米国の大学におけるAIポリシーと図書館の関与(文献紹介)

2025年9月29日付けで、図書館のリーダーシップとマネジメントに関する査読誌Journal of Library Administrationが、米国の大学におけるAIポリシーと図書館の関与についての記事“AI Policies in U.S. Universities: A Critical Analysis of Policy Gaps and Library Involvement”をオンラインで公開しています。著者は、米・南フロリダ大学のErin McCusker氏等です。

米国の各州から1校ずつ計50校の4年制大学におけるAIポリシーとリソースを批判的に検証し、北米研究図書館協会(ARL)が策定したAIに関する指針“Guiding Principles for Artificial Intelligence”との整合性を評価しています。

主な考察結果として、多くの大学では、プライバシー、盗用、アルゴリズムの透明性については基準を満たしているものの、AIが社会的弱者コミュニティーに及ぼす潜在的な害や、障害のある学生のアクセシビリティへの影響に対処している機関は少数であるとしています。また、特筆すべき点として、調査対象となったAIタスクフォースのうち、図書館員が参加していたのは半数未満であり、図書館員が持つデジタルリテラシーや倫理的な情報活用の専門性が生かされていないとし、大学図書館員が組織のAIガバナンスにおいて積極的にリーダーシップをとることを促しています。

McCusker, Erin; Michalak, Russell. AI Policies in U.S. Universities: A Critical Analysis of Policy Gaps and Library Involvement. Journal of Library Administration. 2025.
https://doi.org/10.1080/01930826.2025.2560268

参考:
北米研究図書館協会(ARL)、人工知能に関する行動指針を公開 [2024年05月08日]
https://current.ndl.go.jp/car/219585

欧州研究図書館協会(LIBER)、AIに関するタスクフォースを立ち上げ [2025年07月11日]
https://current.ndl.go.jp/car/255330