米国の大学・研究図書館協会(ACRL)が刊行する“College & Research Libraries News”(C&RL News)の2024年5月号に、学術図書館における学生の資料利用の嗜好(しこう)に関する記事“What Students Want: Electronic v. Print Books in the Academic Library”が掲載されています。
図書館は、授業の課題や試験の準備をするに当たり、学生の読み物に対する好みを知っておくべきであるとし、記事では、図書館の方針が学生の図書館コレクション利用の実状を反映しているかについて、米・ローワン大学(Rowan University)で行われた調査を取り上げて紹介しています。
ローワン大学は、スペース不足等の問題に対処するため、2015年から電子を優先(e-primary)としています。同学図書館のコレクション構築方針もこれを反映し、原則としてまず電子フォーマットで資料を購入することとしているものの、この方針は、実際には希望するフォーマットの資料にアクセスできない学生の図書館に対する不満や苛立ちにつながっていると述べられています。
インタビュー等による調査の結果、学生は教材として主に印刷書籍を好むことが判明したとしています。その理由には、資料に「触る」という感覚体験があるとし、感覚体験を通した学習から得られることとして、深い理解や当該資料の内容の思い起こしといったポイントを挙げています。
Matthews, Jennifer; Johnson, Ane Turner. What Students Want: Electronic v. Print Books in the Academic Library. College & Research Libraries News, 2024, 85(5), p. 190-194.
https://doi.org/10.5860/crln.85.5.190
参考:
米・Library Journal誌、学生の電子書籍利用実態調査報告書を公開 [2018年03月28日]
https://current.ndl.go.jp/car/35748