2023年9月27日付けで、査読付きオープンアクセス誌“In The Library With The Lead Pipe”に、教育実践を通した学生のメンタルヘルス支援における図書館員の役割に関する論文が掲載されました。著者は、米・ジェームス・マディソン大学（JMU）図書館のリエゾン・ライブラリアンで准教授のLiz Chenevey氏です。
大学においては学生のメンタルヘルスに対する懸念が高まっているとし、研究ではJMUの図書館員へのアンケート調査とフォローアップインタビューを実施し、学生のメンタルヘルスをサポートするに当たって図書館員自身が認識している役割と、実際にその役割をどのように担っているかについて考察しています。
アンケート調査には64人の図書館員が回答し、うち8人にフォローアップインタビューが実施されました。アンケート回答者のうち49人（77％）が、指導において生徒の感情に対処したと回答しました。また、アンケート調査とインタビューから得られた結果として、図書館員が自らの役割を「教室における指導者」と「思いやりのある大人の学内ワークの一員」という二つの側面で捉えていることが判明したこと等が述べられています。
Chenevey, Liz. Librarians’ Roles in Supporting Students’ Mental Health through Teaching Practices. In The Library With The Lead Pipe. 2023.
https://www.inthelibrarywiththeleadpipe.org/2023/librarians-roles-in-supporting-students-mental-health/
参考：
米・シカゴ市公衆衛生局、シカゴ公共図書館の一部の分館においてメンタルヘルスサービスを開始：保険の有無や在留資格に関係なく利用可能 [2023年04月25日]
https://current.ndl.go.jp/car/180865
英国の大学図書館における学生のメンタルヘルス・良好な精神状態への支援：新型コロナウイルス感染症の拡大以前との比較（文献紹介） [2020年10月19日]
https://current.ndl.go.jp/car/42295
自殺予防とメンタルヘルスへの意識に関する図書館員によるガイド（記事紹介） [2019年10月08日]
https://current.ndl.go.jp/car/39217
CA2023 – 動向レビュー：欧米の図書館における精神障害者向けサービス / 鈴木尊紘
カレントアウェアネス No.352 2022年06月20日
https://current.ndl.go.jp/ca2023
