CA2023 – 動向レビュー:欧米の図書館における精神障害者向けサービス / 鈴木尊紘

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カレントアウェアネス
No.352 2022年06月20日

 

CA2023

動向レビュー

 

欧米の図書館における精神障害者向けサービス

調査及び立法考査局議会官庁資料課:鈴木尊紘(すずきたかひろ)

 

1. はじめに-精神障害者と図書館サービス-

 障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)(1)(日本は2014年1月20日に批准、条約の発効は2014年2月19日)第1条は、包括的に障害者を次のように定義している。「障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害であって、様々な障壁との相互作用により他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げ得るものを有する者を含む」。また、日本の障害者基本法(昭和45年法律第84号)(2)第2条も同様に包括的な障害者の定義を行っており、障害者とは「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(中略)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう」と規定している。

 これらの条約及び法律では、障害者とは身体的、精神的又は知的な障害により、社会生活や社会参加に支障が生じる者(3)という説明を行っている。そして、このカテゴリーに入る精神障害者とは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)(4)第5条では、「統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう」と定義されている。

 こうした精神障害者を図書館はどのように捉えてきたのだろうか。一方では、精神障害者が突然暴力的になり他人に危害を及ぼすといったイメージの影響で、図書館にとって「問題利用者」であるという捉え方をする立場(5)が見られる。他方では、精神障害者はあくまで図書館にとって「顧客=利用者(patron:パトロン)」であり、可能な限り丁寧に、適切に応対するべきだとする立場がある(6)。また、日本国内における図書館の障害者サービスに関して言えば、概して視覚障害者や肢体不自由者が中心であり、知的障害者や精神障害者の図書館利用があるにも関わらず、その対応は散発的で、本格的な取組には至っていないという指摘が見られる(7)。しかも2010年度の国立国会図書館(NDL)の委託調査と、NDLによる2018年度の図書館調査研究リポートの両方で同様の指摘がなされていることから、あまり状況が進展していない様子がうかがえる。他方、海外に目を移してみると、精神障害者を主な対象としたサービスや関連する取組を図書館が実施する事例が見られる。

 本稿では、海外の図書館における精神障害者向けサービスに焦点を当て、特に欧米諸国の図書館が精神障害者に対してどのように対応し、どのようなサービスを展開しているのかについて、日本の図書館においても参考になると思われるいくつかの具体的事例を示しつつ、これまでの動向の一端を紹介したい(8)。なお、知的障害者向けの図書館サービスについては、藤澤和子氏による文献(9)に論を譲る。

 

2. 欧米の図書館における精神障害者向けサービスの事例

2.1 米国の図書館における精神障害者に対する基本的対処方針策定の事例

 米国の図書館は、19世紀の後半から健康に関する情報を発信し、図書館員が事実上のソーシャル・ワーカーやカウンセラーとしての役割を果たしてきたという歴史がある(10)。その上に立ち、精神障害のある図書館利用者を、図書館員が「問題利用者」ではなく、あくまで「顧客=利用者」としてどのように対応すべきかについて、2010年に米国図書館協会(ALA)の専門・企業図書館部会(Association of Specialized and Cooperative Library Agencies:ASCLA)がヒントを示している(11)。精神障害者が図書館にとってリスク因子であるという認識がある中で、いかに図書館員が「顧客=利用者」として接遇するかについてのポイントは、次の4点に集約することができる。

  • 精神障害のある利用者に対してもその他の利用者と同じように尊重し、思いやりを持って接し、その者のふるまいによってその者を決めてかかることを避けること。また、精神障害が、異常行動・逸脱行動・犯罪行動や認知障害とは異なることを念頭におくこと。
  • 精神障害のある利用者のプライバシーを尊重すること。図書館の利用方法については十分に説明する時間を持つこと。また、精神障害のある利用者がその障害によって引き起こす可能性があるふるまいについて認識し、かつ、図書館が許容できる範囲を定めた規則を作成しておくこと。
  • 精神障害に詳しい外部機関及び専門家と連携をとること。グループホーム、精神科クリニック、ひいては国の機関との連携を図ること。
  • 精神障害に関する書籍の紹介やそれを用いた展示やプログラムによって、精神障害についての地域(コミュニティー)内での認識を高めること。

 また、専門図書館であるコロラド大学法律図書館と南カリフォルニア大学法律図書館の図書館員が、法律図書館における精神障害のある利用者への対応モデルを示している(12)。その内容は以下の3点に整理できる。

  • 外部の医療機関が提供する情報等から、精神障害に関する正しい知識を得るように努めること。図書館員が精神障害のある利用者だと勝手に判断したり、それとレッテルを貼ることは避けること。もしこうした利用者が問題行動を起こした場合でも、その問題のあるふるまいに焦点をあて、その利用者自身に問題があるという認識を持つべきではないこと。
  • このような利用者が行う可能性のある、図書館の規範から逸脱した行為を未然に防ぐために、図書館の利用規則を図書館内の目につく場所やウェブサイトで公開し、あるいは利用者にその規則を記した資料を配布すること。ただし、この規則は精神障害に関するいかなる差別にも立脚せず、障害をもつアメリカ人法(Americans with Disabilities Act)(13)を遵守したものとすること。
  • 精神障害のある利用者が、法的問題に関する直接的で具体的な回答を強く求める場合や、図書館員が提示する回答に懐疑的になるケースが多く見られるので、できるだけ明確な回答を心がけること。しかし、図書館員はその問題に関して法的な意見を述べたり、助言を行うことはできないので、利用者が法的問題の解決方法を求める場合には、外部の法律相談所を案内すること。

 このように、米国の2つの事例は、図書館員が精神障害に正しい認識を持つことを通して、精神障害のある利用者を決して冷遇するのではなく、通常の「顧客=利用者」として扱うこと、こうした利用者の問題行動に対処するための図書館内でのルールをあらかじめ制定しておくこと、さらに、図書館外部の専門機関との連携を図っていくことを推奨していると言える。

 

2.2 図書館が精神障害者の病状の回復・緩和に関与する事例

 次に、図書館が精神障害者をより精神的(内面的)に支援し、その病状の回復や緩和に関与する諸外国の図書館サービスの事例やこれまでの動向を紹介する(14)。その事例は、いずれも「本を読むこと(reading)」を通して実践されるものである。

 

2.2.1 ウエールズ・イングランドにおける読書療法

 読書療法とは、精神障害者を含む精神的・心理的に支障をきたしている者への治療の一環として本(読書)を提供し、利用してもらうセラピーのことである。これは、2003年に英・ウエールズのフルード(Neil Frude)博士によって当初“Cardiff Book Prescription”として創設されたもので、後に“Books on Prescription(BOP)”(処方箋によって本を読む)として成立したスキームである。そして、2005年にウエールズ議会が“Book Prescription Wales”として国家的に採用した(15)。続く2013年にイングランドで“Reading Well Books on Prescription”(処方箋によって本をよく=健康に読む)という方法で用いられるようになった(16)

 具体的には、精神的・心理的に支障をきたしている図書館利用者に対して、医者やカウンセラーなどの専門家が、国家機関が定める基準に従って推薦する書籍のリストのリーフレットを提供する(OPACなどを通してオンラインで提供するケースもある)。そうした本を、主に公共図書館を通じて利用者が自ら手に取り読むことにより、健康を取り戻していくことを支援しようとするものである。これは精神医学やメンタルヘルスの専門家が、図書館の膨大な資料から患者たちの治療に適切な本を処方し、その処方を受けて図書館が本を提供する方法とも言える。

 この方法は元来、アンガーマネジメント(自分の怒りをコントロールすること)ができない者や、不安や鬱を訴える者、自傷を行う者に対する図書館によるブックリストの提供活動であったものが、やがて、人生において苦境に立たされている者、認知症の高齢者、若い世代へのサービスにも展開していった。こうした読書療法は精神障害のある者に対する治療の最初のステップであると見なされており、薬物療法や心理療法を補完するものと位置づけられている(17)。BOPは「認知行動療法を基にした自己を助ける書籍」(cognitive behavioral-based self-help books)(18)による治療法と位置づける論者もいる。2013年からBOPを開始したイングランドの英国読書協会(Reading Agency)らは、5年間の活動を総括し、“Reading Well Books on Prescription”を採用している図書館行政庁が全体の98パーセントに及んでいること、ブックリストに含まれる図書の貸出数も増加しており、2013年から2018年までで累計200万点を超えたことを報告し、BOPの効果が如実に表れていると評価している(19)

 

2.2.2 健康生成論を基にしたデンマークにおけるリーディングアワー

 リーディングアワー(文学作品などの読み聞かせと同時に、その読み聞かせに参加した者が読書体験を共有すること)で精神的な健康を支えようとする実践例が、デンマークのイカスト・ブランデ(Ikast-Brande)公共図書館に見られる(20)。イカスト・ブランデは、デンマークのユトランド半島の中央部に位置する人口約4万人の地方都市であり、同館はイカスト・ブランデの市立図書館である。

 この図書館は、そもそも図書館とは文化的活動を行うと同時に、メンタルヘルスや病気の予防・回復の機能を有しているというポリシーを持って運営を行っており、「精神的に傷つきやすい人々」(mentally vulnerable people)や、ひいては精神障害者の症状の回復・緩和を促すことを1つの目的としている。

 イカスト・ブランデ公共図書館におけるリーディングアワーは、ユダヤ系米国人の健康社会学者アントノフスキー(Aaron Antonovsky)氏が提唱した健康生成論を基に行われている(21)。この理論は病気につながるリスク因子を低減・除去することを第一の目的としている従来の医学の考え方に対し、人が健康でいられる健康因子に焦点を当て、特にその1つである「首尾一貫感覚」(sense of coherence:SOC)を獲得することを目的とするものである。この感覚は、自分の置かれた状況が予測可能であり、かつうまく運ぶ公算も大きいという確信の志向性と定義されている。

 ここでは、リーディングアワーにおいて、自分の考えを他の参加者に聞いてもらう(シェアする)という経験を通して、自分の存在が他者に認められ、そのことで自分自身を把握する感覚をもたらすこと、ひいては他の参加者に自分の意見を認められることで自己尊重や自己理解を深めることが、最終的に治療の端緒となりうる、と考えられている(22)。健康生成論によれば、こうした相互の対話と精神的な結びつきを得ることは、自らの人生・生活の状況・状態を捉える意欲を生み出すことに繋がり、ひいてはその人生・生活をうまく取り扱うツールを提供するものと位置づけられている。

 

2.3アメリカにおける図書館と外部医療機関との連携事例

 図書館が地域の外部医療機関と連携しつつ、精神障害者へのサービスを行っている事例として、ペンシルバニア大学とFree Library of Philadelphia(フィラデルフィア市における公共図書館システム)との連携による“The Healthy Library Initiative”が挙げられる(23)。Free Library of Philadelphiaには54の分館があるが、そこには精神障害者だけでなく、ホームレスや、移民、恵まれない環境にある若い世代の人々、そしてトラウマを抱える子どもやその家族などの「傷つきやすい人々」(vulnerable populations)が頻繁に訪れる。その中でも、対応時間の多くを占め、図書館外部の機関の支援を必要とするのが、精神障害者へのサービスである。

 “The Healthy Library Initiative”は、これらの人々に対応するために図書館外部の医療関係者やソーシャル・サービスの専門家と連携して、「コミュニティー健康専門司書」(community health specialist librarians)を養成している(24)。この専門司書は、上述の精神障害者を含めた「傷つきやすい」利用者に対して、より効果的で質の高いサービスを提供することを任務とする者と位置づけられている。ただ、こうした専門的な司書であっても、医療関係者やソーシャル・サービスの専門家を代替することはできない。また、図書館それ自体も本格的な病気の治療を行うことはできない。しかし、図書館がコミュニティーにおけるメンタルヘルスの「ハブ」になりうるという基本的な考え方が背景にあることで、こうした専門横断的な活動を図書館が行うことができるのである(25)

 このような図書館が外部の医療機関と連携して精神障害者向けのサービスを向上させようとする取組はほかにも見出せる。

 カリフォルニア州立図書館は、図書館とは精神障害者も含めたあらゆる人々が来訪する「コミュニティーセンター」であると位置づけた上で、“Mental Health Initiative”を立ち上げている。これはカリフォルニアにある公共図書館に対して研修の機会を提供するもので、外部の専門家との連携の下に、トラウマ概念の理解やコロナ禍でのメンタルヘルスの問題について、オンラインで研修を行っている点が特徴的である(26)

 ニューヨーク公共図書館(NYPL)は、「コミュニティー・メンタル・ヘルスに関する市長オフィス」(The Mayor’s Office of Community Mental Health)と2019年から協力関係を結び、“Spaces to Thrive”(27)として、13の分館で、自殺予防の啓発(28)に加えて、自らの感情をコントロールする方法や、精神障害者へのスティグマ問題、ソーシャル・メディアとメンタルヘルスの関係などの学習機会を設けている。また、これらの分館では、メンタルヘルスに関する自伝、ノンフィクションや小説を提供し、オンラインでもこの分野のブックリストを公開している。

 

3. おわりに

 欧米の図書館における精神障害者向けービスの事例をいくつか紹介したが、精神障害者が歴史的にも現在でも差別にさらされていることは否めない。そのような状況ではあるが、冒頭で示した障害者の権利に関する条約第30条1(c)では、精神障害者を含めた障害者が、健常者との平等を基礎として、他の文化施設と同様に図書館を利用する機会を有することが規定されている。精神障害者向けのサービスを充実させつつ、彼ら/彼女らを平等に、すなわち差別なく<尊厳ある一個人>として社会に受け入れる端緒となること、それこそが、これからの図書館が持つべき重要な使命のひとつなのではないだろうか(29)

 

(1) “障害者の権利に関する条約(略称:障害者権利条約)”. 外務省. 2020-12-09.
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html, (参照 2022-04-07).

(2) “障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)”. e-GOV.
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC1000000084, (参照 2022-04-07).

(3) 1981年に世界保健機関(WHO)から出された国際障害分類(ICIDH)では、障害とは病気(機能障害)の結果として捉えられていたが、2001年の国際生活機能分類(ICF)では、人が生きていく全体像を「生活機能」とし、障害それ自体をマイナスとして考えるのではなく、生活機能の中で支障がある状態(「生活のしづらさ」を抱えていること)と捉えるようになっている。
“「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について”. 厚生労働省. 2002-08-05.
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0805-1.html, (参照 2022-04-07).

(4) “精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)” . e-GOV.
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0100000123_20200401_430AC0000000079, (参照 2022-04-07).

(5) 精神障害者は図書館にとって「問題利用者」であるという立場から書かれたものとして、以下がある。
ベス・マクニール, デニス・ジョンソン編. 図書館の問題利用者 : 前向きに対応するためのハンドブック. 中野捷三訳. 日本図書館協会, 2004, p. 32-67.

(6) 精神障害者が図書館サービスにとって「顧客=利用者」であるか「問題利用者」であるかについて総論的に論じたものとして、以下がある。
Hecker, T. E. Patrons with disabilities or problem patrons: Which model should librarians apply to people with mental illness?. Reference Librarian. 1996, 25(53), p. 5-12.

(7) このような指摘に関しては、以下がある。
前田章夫. 日本の公共図書館における「障害者」への図書館サービスの現状と課題. 図書館界. 2015, 67(4), p. 274-278.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/toshokankai/67/4/67_KJ00010078520/_article/-char/ja/, (参照 2022-04-07).
シード・プランニング. 公共図書館における障害者サービスに関する調査研究. 2011, 61p.
https://current.ndl.go.jp/files/research/2010/2010research_report.pdf, (参照 2022-04-07).
特に「第4章:野口武悟. 公共図書館における障害者サービスの事例的検討:ヒアリング調査から」のp. 21-25に、この部分に関係する記載がある。
国立国会図書館関西館図書館協力課編. 公共図書館における障害者サービスに関する調査研究. 国立国会図書館, 2018, 118p., (図書館調査研究リポート, no.17).
https://current.ndl.go.jp/files/report/no17/lis_rr_17.pdf, (参照 2022-04-07).

(8) 本稿で主に参考にした文献は、次のものである。
Green, Michelle P. Inclusive Library Service to Individuals with Mental Illnesses and Disorders. The International Journal of Information, Diversity, &Inclusion. 2020, 4(1), p. 119-126.
https://doi.org/10.33137/ijidi.v4i1.32500, (accessed 2022-04-07).

(9) 藤澤和子編. 公共図書館でできる知的障害者への合理的配慮. 樹村房, 2019, 194p.

(10)Rubenstein, E. From Social Hygiene to Consumer Health: Libraries, Health Information, and the American Public from the Late Nineteenth Century to the 1980s. Library & Information History. 2012, 28(3), p. 202-219.
https://doi.org/10.1179/1758348912Z.00000000016, (accessed 2022-04-07).

(11)Association of Specialized and Cooperative Library Agencies. People with mental health issues: What you need to know: Library Accessibility Tip Sheet 7. 2p.
https://www.ala.org/asgcla/sites/ala.org.asgcla/files/content/asclaprotools/accessibilitytipsheets/tipsheets/7-Mental_Illlness.pdf, (accessed 2022-04-07).

(12)Harrell, Nick; Guyer, Cindy. Mental Illness in the Library: Ten Tips to Better Serve Patrons. AALL Spectrum. 2015, p. 22-25.
https://scholar.law.colorado.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1046&context=articles, (accessed 2022-04-07).

(13)障害をもつアメリカ人法(Americans with Disabilities Act)はADAとも呼ばれるもので、1990年に成立した連邦法である。障害のある者に市民権上の保護を与え、公共施設・雇用・交通機関や、州及び地方行政上のサービス等での機会均等を保障する法律である。

(14)このようなサービスを“recovery-based service”と呼ぶ論者もいる。
Roberts, Glenn; Wolfson, Paul. The rediscovery of recovery: open to all. Advances in Psychiatric Treatment. 2004, (10), p. 37-49.
https://doi.org/10.1192/apt.10.1.37, (accessed 2022-04-07).

(15)フルード博士が、このスキームを詳細に説明した2011年の文献がある。
Frude, Neil. Book Prescription Wales 2011: A Strategy for Enhancing Treatment Choice for Mental Health. 39p.
http://www.wales.nhs.uk/sitesplus/documents/829/BPW%20Prescriber%20Information%20booklet%20.pdf, (accessed 2022-04-07).

(16)この読書療法の記述は主に次の2016年の文献を参照した。
The Reading Agency. Books on Prescription: How bibliotherapy can help your patients and save your practice time and money. 32p.
https://tra-resources.s3.amazonaws.com/uploads/entries/document/1844/BOP_final_pages_doubles_B.pdf, (accessed 2022-04-07).

(17)このスキームがメンタルヘルスに問題のある利用者にとっての治療のひとつの選択肢として機能していることを数量的に調査した文献として、以下がある。
Robertson, Roma et al. The introduction of a healthy reading scheme for people with mental health problems: usage and experiences of health professionals and library staff. Mental Health in Family Medicine. 2008, (5), p. 219–228.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2777585/pdf/MHFM-05-219.pdf, (accessed 2022-04-07).

(18)Brewster, Liz. Books on Prescription: Bibliotherapy in the United Kingdom. Journal of Hospital Librarianship. 2009, 9(4), p. 399-407.
https://doi.org/10.1080/15323260903253456, (accessed 2022-04-07).

(19)BOP Consulting. The Reading Agency and Libraries Connected: Reading Well: Evaluation of Year 5- 2017/2018. 2018, 42p.
https://tra-resources.s3.amazonaws.com/uploads/entries/document/3129/BOP_RWBoP_Y5_Evaluation.pdf, (accessed 2022-04-07).

(20)このリーディングアワーの記述は主に次の文献を参照した。
Hansen, Bjorn et al. The library plays an active part in issues of healthcare. Scandinavian Library Quarterly. 2016, 49(1/2), p. 18-21.
https://issuu.com/kunststyrelsen/docs/slq_2016._1-2_b54abac741e69c, (accessed 2022-04-07).

(21)健康生成論については次の2つの文献を参照した。
アーロン・アントノフスキー. 健康の謎を解く : ストレス対処と健康保持のメカニズム. 山崎喜比古, 吉井清子監訳. 有信堂, 2001, 251p.
日本健康心理学会編. 健康心理学事典. 丸善出版, 2019, p. 28-29.

(22)Hansen, Bjorn et al. op. cit.

(23)Morgan, Anna U. et al. Beyond Books: Public Libraries As Partners For Population Health. Health Affairs. 2016, 35(11), p. 2030–2036.
https://doi.org/10.1377/hlthaff.2016.0724, (accessed 2022-04-07).

(24)ここでは図書館司書がソーシャル・ワーカーとして機能していることがうかがえる。なお、図書館司書がその境界を越え、ホームレスと精神障害者にとってのソーシャル・ワーカーとして機能する必要性を説いたものとして次の論文がある。
Cathcart, Rachael. Librarian or social worker: Time to look at the blurring line?. The Reference Librarian. 2008, 49(1), p. 87-91.

(25)Stringer, Heather. “Libraries as mental health hubs: Across the United States, libraries are striving to offer visitors mental health supports”. American Psychological Association. 2020-04-01.
https://www.apa.org/monitor/2020/04/libraries-health-hubs, (accessed 2022-04-07).

(26)“California Mental Health Initiative”. California State Library.
https://www.library.ca.gov/services/to-libraries/mental-health-initiative/, (accessed 2022-04-07).

(27)“Spaces to Thrive”. New York Public Library.
https://www.nypl.org/thrive, (accessed 2022-04-07).
“Mayor’s Office of Thrive NYC Announces New Partnership with New York Public Library, Connecting Library Patrons to Mental Health Resources”. NYC. 2019-12-05.
https://www1.nyc.gov/office-of-the-mayor/news/595-19/mayor-s-office-thrivenyc-new-partnership-new-york-public-library-connecting, (accessed 2022-04-07).

(28)関連して、ノースカロライナ州立図書館の司書Anthony Aycock氏は、自殺予防とメンタルヘルスサービスに関する図書館員向けのガイドを以下の記事で記している。
Aycock, Anthony. “A Librarian’s Guide to Suicide Prevention and Mental Health Awareness”. Information Today. 2019-10-08.
http://newsbreaks.infotoday.com/NewsBreaks/A-Librarians-Guide-to-Suicide-Prevention-and-Mental-Health-Awareness-134466.asp, (accessed 2022-04-07).

(29)精神障害者が社会的に排除されるのではなく、社会的に包摂され、それぞれの地域社会で持続的に生きていくことの必要性について論じたものとして、次の文献がある。
田中英樹. 精神障害者支援の思想と戦略: QOLからHOLへ. 金剛出版, 2018, 277p.

 

[受理:2022-05-13]

 


鈴木尊紘. 欧米の図書館における精神障害者向けサービス. カレントアウェアネス. 2022, (352), CA2023, p. 24-28
https://current.ndl.go.jp/ca2023
DOI:
https://doi.org/10.11501/12301409

Suzuki Takahiro
Service to Individuals with Mental Illnesses and Disorders in European and American Libraries