北米の都市図書館協議会(ULC)、イノベーションと生産性のための場所としての図書館に関するホワイトペーパーを公開

2023年6月2日、北米の都市図書館協議会(ULC)が、イノベーションと生産性のための場所としての図書館に関するホワイトペーパー“Libraries as spaces for innovation and productivity”を公開したことをULCのTwitterアカウントで発表しました。

パンデミック後の世界において人々が集まることの重要性、特に、信頼できる施設であり訪問先としての有力な選択肢としての図書館の役割について調査されています。

サードプレイスにおける質の高い交流の必要性が高まるにつれて、サードプレイスとしての場所の質も重視されるようになっているとあります。アクセスのしやすさ、快適さ、インターネットのスピードなどは、オフィスや同様の機能的なスペースの利便性をより自由に実現するためにサードプレイスに求められる要素であるとし、図書館は元来こうした必要なものを備えた柔軟で公平な空間として設計されており、またその美観も相まって、人々を惹きつけることができる機会を有しているとあります。

ホワイトペーパーでは、パンデミックによる人々の行動の変化とそれに対応する図書館の事例が紹介されているほか、イノベーションと生産性のためのスペースとしての図書館の価値を強調するための推奨事項として、以下の4つが挙げられています。

・図書館を、集いの拠点、訪問先の候補、経済活動の受入先として推進する
・柔軟なワークスペースとしての図書館を強調する
・移動するテレワーカーにとって、図書館は信頼できる施設であると位置づける
・図書館の放課後プログラムへの助成金増額を要請する

@UrbanLibCouncil(Twitter, 2023/6/2)
https://twitter.com/UrbanLibCouncil/status/1664285993808297985

Libraries as spaces for innovation and productivity(ULC)
https://www.urbanlibraries.org/files/Libraries-as-spaces-for-innovation-and-productivity_5.25.2.pdf

関連:
Public Libraries as Critical Spaces for Convening(ULC, 2023/6/1)
https://www.urbanlibraries.org/blog/public-libraries-as-critical-spaces-for-convening

参考:
ドイツ図書館協会(DBV)、小規模自治体図書館の「サードプレイス」化を支援する資金援助プログラムを実施 [2020年04月27日]
https://current.ndl.go.jp/car/40850

デジタル時代における「場所としての図書館」の可能性:公共図書館と「公共圏」の関係(文献紹介) [2019年09月19日]
https://current.ndl.go.jp/car/39068

「場所としての図書館」文献ガイド(英国) [2008年10月23日]
https://current.ndl.go.jp/car/9155

E2602 – 図書館とFood Justice:北米の都市図書館協議会による報告書
カレントアウェアネス-E [No.458 2023.06.15]
https://current.ndl.go.jp/e2602

CA2034 – 動向レビュー:公共施設等総合管理計画と公立図書館の施設整備 / 松本直樹
カレントアウェアネス No.354 2022年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca2034

CA1580 – 動向レビュー:「場所としての図書館」をめぐる議論 / 根本彰
カレントアウェアネス No.286 2005.12.20
https://current.ndl.go.jp/ca1580