電子メール保存に関する米・州公文書館館長会議(CoSA)の報告書“Be Prepared”(記事紹介)

図書館や情報専門家、情報サービスに関するニュースサイト“Information Today”に、2023年5月16日付けで、州政府関係者等の電子メールの保存に関する記事“’Be Prepared’ for Emails: Examining the Council of State Archivists’ New Report”が掲載されています。著者は米・ノースカロライナ州グリーンズボロ公共図書館職員であり、グリーンズボロ市の公的記録取扱管理者のKurt Brenneman氏です。

記事では、米・州公文書館館長会議(CoSA)の電子メール保存に関するプロジェクト“CoSA PREPARE: Preparing Archives for Records in Email”(PREPAREプロジェクト)によって3月に公開された報告書“Be Prepared: Managing & Preserving Email in State and Territorial Governments”が紹介されています。

報告書の基となったPREPAREプロジェクトによる州公文書館等に対するニーズ評価調査では、82%が今後5年で電子メールの保有量が大幅に増加すると予想していること、2026年までに公文書館1館あたり400万通、100GB~1TBの新規電子メールの蓄積が予測されていること、2026年には公文書館のデジタル記録コレクションの20%以上を電子メールが占める可能性があることが示されたとあります。

記事では、報告書“Be Prepared”が、「政府における電子メールの管理と保存は、主にガバナンスの課題である」として米国国立公文書館(NARA)が連邦職員の電子メールに対して先駆的に導入した役職ベースの評価方法である“Capstone”による電子メールアカウントの集中管理を推奨しているほか、アーキビストがアカウントをデジタルリポジトリシステムに移行する際にはヘッダーやハイパーリンクを含む、電子メールを可能な限り保存した状態で行う必要があるとし、そのための推奨事項を示していること等が紹介されています。

‘Be Prepared’ for Emails: Examining the Council of State Archivists’ New Report(Information Today, 2023/5/16)
https://newsbreaks.infotoday.com/NewsBreaks/Be-Prepared-for-Emails-Examining-the-Council-of-State-Archivists-New-Report-158650.asp

Be Prepared: Managing & Preserving Email in State and Territorial Governments(CoSA, 2023/3/27)
https://www.statearchivists.org/viewdocument/be-prepared-managing-preserving

CoSA PREPARE: Preparing Archives for Records in Email(CoSA)
https://www.statearchivists.org/electronic-records/state-electronic-records-initiative/cosa-prepare

参考:
米・イリノイ大学が主導する助成プロジェクト“Email Archives”の第1期採択プロジェクトが発表される:図書館等の機関が電子メールを歴史記録として収集・保存する能力の構築に関するプロジェクト [2021年04月23日]
https://current.ndl.go.jp/car/43876

米国アーキビスト協会(SAA)ら、連邦政府記録の管理に関する推奨事項をバイデン氏の政権移行チームに提出 [2020年12月02日]
https://current.ndl.go.jp/car/42662

全米州CIO協会(NASCIO)及び米・州公文書館館長会議(CoSA)、州政府による電子記録保存のための11の戦略をまとめた報告書を公開 [2018年10月19日]
https://current.ndl.go.jp/car/36866