論文をオープンアクセスにすると被引用数は増えるか?(文献紹介)

米コーネル大学のデイビス(Philip M. Davis)氏の論文 “Open access, readership, citations: a randomized controlled trial of scientific journal publishing” がThe Journal of the Federation of American Societies for Experimental Biology(オンライン版 2011/3/30付け)に掲載されています。この論文では、オープンアクセスの論文がそうでないものより多く引用されるかという問題が取り上げられています。複数の分野の計36タイトルの雑誌に収録された論文の一部を無作為にオープンアクセスにし、その結果ダウンロード数と被引用数がどうなったかを調査したところ、オープンアクセスにした論文は非常に多くダウンロードされたもののより多く引用されたとは言えなかったと結論づけています。著者はその理由を、研究者の多くは大規模大学に属していて豊富なオンライン文献へアクセスできるためオープンアクセス化による影響を受けないからではないかと説明しています。

Open access, readership, citations: a randomized controlled trial of scientific journal publishing
http://dx.doi.org/10.1096/fj.11-183988

Open Access Does Not Equal More Citations, Study Finds (Wired Campus 2011/4/1付け記事)
http://chronicle.com/blogs/wiredcampus/open-access-does-not-equal-more-citations-study-finds/30713

参考:
CA1693 – 動向レビュー:オープンアクセスは被引用数を増加させるのか? / 三根慎二
http://current.ndl.go.jp/ca1693