英・Guardian紙に、2023年1月24日付で記事“Why US libraries are on the frontlines of the homelessness crisis”が掲載されました。
冬の寒波やパンデミックの収束を受けて、全米の図書館はこれまで以上にホームレス危機の最前線に立っているとし、記事は公共図書館とホームレスの人々の関わりの現状等を伝えています。
ホームレス支援団体による話として、ホームレスの人々が、暖を取ったり公衆トイレを使用したりすることができ、また警察からの嫌がらせを避けられる安全な場所として公共図書館を利用する傾向が全国的に見られるとしています。
図書館は、シェルターを持たない人々をベーシック・ニーズにつなぐ最前線にもなっているとしています。ラスベガス・クラーク郡図書館区は衛生キットを提供し、ラスベガス地域の30館近くはホームレスの若者のための「安全な場所」として指定されているとあります。その他の地域の図書館でもホームレスの人の公的給付や住宅申請の手助けをしたり無償の衣類を提供している事例を挙げ、公共図書館は「深刻なニーズを持つ人々を支援する最初の窓口」であるとする図書館員の言葉を紹介しています。
一方で、図書館員の多くはホームレスの人々、未治療の精神疾患や薬物中毒の症状を持つ人々に対処するための訓練を受けていないこと、また最近では図書館員、ホームレスの人々、コミュニティの間で衝突が生じていることなども取り上げ、実際に起こった事例などを伝えています。
Why US libraries are on the frontlines of the homelessness crisis(The Guardian, 2023/1/24)
https://www.theguardian.com/us-news/2023/jan/24/us-libraries-homeless-crisis-social-workers
参考:
米・ラスベガス-クラーク郡図書館区、低所得者やホームレスへのスマートフォンの貸出プログラムを開始 [2022年04月27日]
https://current.ndl.go.jp/car/46055
E2431 – コロナ禍における米国の図書館支援政策
カレントアウェアネス-E No.422 2021.10.14
https://current.ndl.go.jp/e2431
CA1809 – 動向レビュー:ホームレスを含むすべての人々の社会的包摂と公共図書館 / 松井祐次郎
カレントアウェアネス No.318 2013年12月20日
https://current.ndl.go.jp/ca1809