図書館員のセルフケアを超えて:組織としての図書館にできること(記事紹介)

2023年1月10日付で、米国公共図書館協会(PLA)のオンライン補完版”Public Libraries Online”にブログ記事“Beyond Self-Care for Library Staffers”が掲載されていました。著者はニューヨーク公共図書館のCarolyn Lawrence氏です。

記事は、世界保健機構(WHO)による「セルフケア」の定義等を紹介しつつ、図書館員のメンタルヘルスや感情労働に関する研究文献に触れながら図書館員の置かれている状況を説明し、これらへの対処として図書館ができることを提案しています。

例えば、職員に有給休暇を取得させることのほかに、管理職が職員に職員支援プログラムの利用を促すなどして、メンタルヘルスのために活用できるリソースを想起させる必要があるとしています。図書館が包括的で協力的になることが最終目標であり、その達成には感情労働への対処が重要であると述べています。

セルフケアとセルフケア支援はヘルスケアの未来の一部であるとし、職員支援プログラムの中での会話やメンタルヘルス・デイの実施などを通して、組織レベルでメンタルヘルスに対する偏見を取り除いていくことが望ましいとしています。

Beyond Self-Care for Library Staffers(Public Libraries Online,2023/1/10)
https://publiclibrariesonline.org/2023/01/beyond-self-care-for-library-staffers/

参考:
図書館スタッフへのセクハラ・脅迫・暴力:カナダ・トロント大学の調査(記事紹介)[2021年10月06日]
https://current.ndl.go.jp/car/44930

職員が利用者から受ける暴力・暴言の増加:カナダ・トロント公共図書館(TPL)の事例(記事紹介) [2020年3月5日]
https://current.ndl.go.jp/car/40412

E2340 – 感情労働者たる図書館職員を保護するための指針(韓国)
カレントアウェアネス-E No.405 2020.12.24
https://current.ndl.go.jp/e2340