Internet Archive代表、Googleブック検索和解案への反対を改めて主張(米国)

 米国の非営利団体Internet Archiveの代表ケール(Brewster Kahle)氏は、2009年5月19日付けのWashington Post紙(web版)に掲載された論説で、Googleブック検索について、独占による弊害という観点から、裁判所は和解案を認めるべきでないという主張をしています。
 ケール氏は、いわゆる「孤児作品」についてGoogle社が永続的なライセンスを得ることができることや、創設予定のBook Rights Registryが商業利用の価格を決めることができることについて、裁判所認定の独占が発生することになると批判しています。そして、どんなに優秀でどんなに評判の良い企業であっても、そのような権利をただ一つの企業に与えることは、言論の自由や知識へのオープンアクセス等の原則に危険をもたらすとしています。
 代替案として、Google社以外にも様々な図書館・出版社・IT企業が、オープンでアクセス自由なシステムを目指してデジタル化に取り組んでいることをあげています。高速道路60マイル分と同じ費用で1000万冊のデジタル図書館が創設可能だとし、作品が将来の世代の手にも届くように努力することが大切だとしています。

A Book Grab by Google (2009年5月19日付けWashington Post(web版)のBrewster Kahle氏の論説)
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/05/18/AR2009051802637_pf.html

参考:
Googleブック検索についての報道記事
http://current.ndl.go.jp/node/12730

E918 – Googleブック検索の和解案への意思表示期限が4か月延長
http://current.ndl.go.jp/e918

E857 – Google Book Searchと出版社・著作者団体との和解案がまとまる
http://current.ndl.go.jp/e857