CA685 – 米国議会図書館長、22%の予算増額を要求―380万点の滞貨解消へ― / 田中久徳

カレントアウェアネス
No.132 1990.08.20


CA685

米国議会図書館長,22%の予算増額を要求
−380万点の滞貨解消へ−

ジェイムズ・ビリントン米国議会図書館長は,2月5日の議会予算小委員会の席で,1991会計年度の議会図書館(LC)の政府予算として,前年比22%増の3億2600万ドルを要求しているとの発言をおこなった。

これは,第二次大戦以後,最大幅の予算増額要求となるが,ビリントンは,「我々の願望リストではなく,LCがその責務を遂行し続けていくために必要不可欠のものだ」と述べている。

LCでは,ビリントン館長の手で,経営管理の手法を取り入れた大規模な機構改革が進められているが,過去6年間で14%の増加という極めて不十分な予算の中では,業務の危機的な侵食が続く事態となっている。

ビリントン館長によれば,LCは現在,民間資金の導入を計画しているが,それは「例外的問題」にむけられるものであり,図書館の基本的な管理運営やサービスのための予算の需要が減少するものではないとして予算増額の必要性を強調している。

増額予算のうちの730万ドルは,整理スタッフの拡充による長期累積的滞貨資料の解消に充てられ,その他は,必須の支出増や資料保存,機械化,視覚・身体障害者サービスなどにまわされる計画である。

特に,現在非図書資料を中心に約380万点にのぼっている滞貨資料を西暦2000年までに解消することが最大目標にあげられ,LCにのみ所蔵されている資料を早急にアクセス可能とすることが急務であるとしている。

3月30日の議会予算小委員会へ提出された計画案では,380万点の滞貨を1993会計年度末までに,30%(約110万点)減少させるとしており,各資料群ごとに詳細な目標が設定されている。

例えば,23万冊の未整理図書資料は17万冊以下に減らすとされ,日本語単行書3600冊は整理をすべて完了することになっている。この他,1801年以前の貴重書,コンパクトディスク,楽譜,マイクロ資料,手稿,特殊コレクションなど各資料群ごとの分析結果と目標値が示され,長期的かつ組織的な滞貨解消計画が示されるのは,LCの歴史上初めてのことである。

また,滞貨資料の解消は,蔵書の成長と密接に関連しており,緊急な書庫スペースの不足が予想される。計画では,このために30万冊を収容できる,第2貯蔵施設(SSF)の建設も予定されている。

田中久徳

Ref. Library Journal 115 (6) 21, 1990. 4. 1
American Libraries 21 (3) 173, 1990
Library develops plan to cut arrearages. LC Information Bulletin 49 (10) 170, 1990