CA686 – レファレンス・サービス向上計画―米国カリフォルニア州COREプロジェクト― / 岸美雪

カレントアウェアネス
No.132 1990.08.20


CA686

レファレンス・サービス向上計画
−米国カリフォルニア州COREプロジェクト−

レファレンス・サービスに関する実務者の研修や交流は日本でも盛んであるが,組織的・広域的に行う向上計画がカリフォルニア州で行われている。CORE(California Libraries for Reference Excellence)と名づけられたこのプロジェクトは,州内での平等なレファレンス・サービスを受ける権利を利用者に保証するために,人的資源の開発,トレーニングの機会提供,コアコレクションの整備の3つを重点としている。この計画の資金はLibrary Services and Construction Actにもとづき拠出され,1987〜88会計年度に総計756,000ドルがSan Joaquin Valley Cooperative Library Systemに与えられている。プロジェクトはマネージャー,ディレクターおよびレファレンス経験のある司書6名で組織されている。計画の概要は次のとおり。

1年目 課題:1)カリフォルニア住民は,地元の図書館を通してどんな情報も入手できること。2)カリフォルニア住民は,地元の図書館に質問した際に満足する回答をうることができること。

実施されたプロジェクト:a)購入すべき基本参考図書リストの作成。このコアリストをプロジェクト参加館に送付し,未所蔵のもの,買いかえるものなどの要望をきき,資料を送付。b)トレーニングの機会提供。対象を実務担当の非専門職とし,基礎的な4時間のワークショップを軸に,20〜30分のミニワークショップ,ツールの解説を主眼とした通信教育などを行った。しかも基礎的ワークショップは主催者が各地へ出向く形で年間約60回行われ,実務者が参加しやすいように配慮されるなど,随所に工夫がみられる。(参加:62地区 440館)

2年目 課題:住民が情報を必要とする場合には,どんな公共図書館のサービスポイントでも,正確で完全な回答を得ることができること。しかも,教育,言語,身体的障害,地理的条件に左右されないこと。

実施されたプロジェクト:a)特定したグループ(アジア言語やスペイン語系住民など)に対するサービスに必要な基本参考図書リストの作成と基礎的な4時間のワークショップの提供。(参加:72地区 473館)b)現在提供している基礎トレーニングを開催できるトレーナー(指導者)の養成を行う5日間のワークショップの開催。

岸 美雪

Ref. Layman, Mary, et al. Statewide reference improvement: developing personnel and collections. Wilson Library Bulletin 64 (5) 26-31, 1990