カレントアウェアネス
No.132 1990.08.20
CA683
0CLCがオンライン情報検索サービス(EPIC)を開始
<情報検索サービス市場への参入>
OCLCは,今年(1990年)の1月からEPICサービスを開始した。これは,オンラインによるレファレンス情報検索サービスで,それ自体新しいものではない。しかし,2000万件を超える(しかも毎日更新されて,週に3万5千件の書誌レコードが追加されていく)目録データベースがはじめて自由に検索できる威力は絶大で,OCLCオンライン総合目録のベールがはじめて剥がれることになった。というのは,OCLCの既存のオンライン検索システムは,既知の文献の検索,すなわち,資料を手にしたカタロガーの目録作成のために効率よく検索することを前提としたシステムで,主題検索のような未知の文献を探索することを前提としていなかったからである。
このEPICサービスのために最初に登載するデータベースは,世界最大の目録データベースであるOCLCオンライン総合目録だけであるが,順次登載データベースを追加していく予定である。日本の市場にはまだ登場していないが,OCLCはすでに主題別検索用CD-ROMとしてSearch CD450を販売しており,これらのCD-ROMにはAGRICOLA,ERIC,NTISといった他機関作成のデータベースも収録されている。OCLCはさらにDIALOG等のオンライン情報検索サービス市場へ新たに参入することになったわけである。今年の後半には,13のオンライン・ベンダーが提供する約850のデータベースのゲイトウェイであるEasyNetがこのEPICを通して利用可能となる予定である。
<OCLCオンライン総合目録の検索>
1989年末でOCLCオンライン総合目録には37カ国1万機関が入力した書誌レコード2200万件,所蔵数3億3千万が収録されている。このなかには,図書のほかに,100万件の逐次刊行物,50万件の録音資料,40万件の楽譜,22万件の地図,10万件の文書・写本,2万5千件のコンピュータファイルに関する書誌レコードが含まれている。
このような厖大なデータベースを検索するキーとして,次のようなものが用意されている。
(18種類のキーワード索引)
OCLC管理番号,著者,タイトル,シリーズ,件名,統一タイトル,注記,出版者,出版地,出版年,内容細目,刊行頻度,政府刊行物番号,レポート番号,標準番号,LCカード番号,DDC,UDC。
(10種類の語句索引)
個人名,団体名,会議名,タイトル,件名,言語,NLMナンバー,NLCナンバー,楽譜番号。
これらの検索キーは,ブール演算によって掛け合わせることもできる。また出版年もしくはOCLC管理番号によってソートすることができる。
<通信システムと料金>
通信システムとしてはOCLC専用回線のほかに,直接ダイヤル・アクセスもしくはCompu Serveネットワークを利用することができる。サービス時間は,米国東部標準時で,月曜から金曜までは朝6時から夜の10時まで,土曜日は朝8時から夜の8時までである。
利用料金はまず年会費として,OCLC参加機関は37.50ドル,非参加機関は75ドルが必要である。また接続時間あたりの料金として,参加機関で37ドル,非参加機関で110ドル,さらにディスプレイおよびオフライン印字料金が課せられるが,これは表示形式によって異なる。通信料金は,アクセスの方式によって異なる。
通信網を更新するTelenetによる新ネットワークや,ハードウェアとソフトウェアを更新するPRISMと呼ばれる新システムの稼動とともに,このEPICサービスは,この2〜3年におけるOCLCの核となる事業として想定されている。分担目録作業や総合目録の構築が中心であったOCLCは,このような情報検索サービスを開始することによって新たな局面を開こうとしている。サービスを開始して2カ月という3月3日現在で,その利用者数は1000件を突破している。
和中幹雄
Ref: OCLC Newsletter 183, 1990. 1/2
0CLC Annual Report 1988/89
0CLC Reference Services: Fact Sheet. 1990.1