CA1785 – 動向レビュー:Europeanaの動向:「欧州アイデンティティ」および「創造性」の観点から / 古山俊介

PDFファイルはこちら

カレントアウェアネス
No.314 2012年12月20日

 

CA1785

動向レビュー

 

Europeanaの動向:「欧州アイデンティティ」および「創造性」の観点から

 

京都大学人間・環境学研究科修士課程修了:古山俊介(ふるやま しゅんすけ)

 

1. はじめに

 図書館、ミュージアム、アーカイブズといった公的文化機関のもつ資料を電子化し、それを電子的に公開する試みは現在、それら異種の機関が協働して電子化資料を一括提供しようとする大規模な「文化遺産ポータル」へと駒を進めている。なかでも欧州連合(European Union、以下EU)は、国家の境界をこえた大規模ポータルの構築においていち早くスタートを切り、現時点でかなりの成功をおさめている。本稿は、EUにおける代表的な文化遺産ポータル“Europeana”について、その動向を概観する。

 

2. Europeanaのサービスと運営

 Europeana(1)は欧州の図書館、ミュージアム、アーカイブズおよび視聴覚アーカイブズの保有する電子化資料への統合的なアクセスを提供するポータルサイトである。2008年11月20日にβ版サイトが公開されて以降、その参加国および参加機関は順調に増加し、2012年11月時点でEUを中心に34か国、約2,000の機関が参加している(2)。また公開資料数も飛躍的に伸びており、β版開設時には約280万点であったのが、本稿執筆時点(2012年11月)において約2,200万点を数えている(3)

 

2.1 組織

 Europeanaは、EUの執行機関である欧州委員会(European Commission、以下EC)が2005年に打ち出した5か年の情報政策プログラム「i2010 – 成長と雇用のための欧州情報社会」(4)のなかで計画されたものである。そして、その後継プログラムである「デジタル・アジェンダ(Digital Agenda)」(5)(2010年より10か年)においてもEuropeanaはECからの財政支援を受けており、また同時にEuropeana参加国の文化政策関連省庁からも支援を受けている(6)

 Europeanaの運営主体は「Europeana財団(Europeana Foundation)」という法人であり、オランダ王立図書館に置かれている(7)。運営形態としては、「Europeanaネットワーク」、「参加機関評議会」、「執行委員会」という階層構造がとられている(図1参照)。なお「参加機関評議会」にはたとえば「欧州国立図書館長会議」、「欧州研究図書館協会」、「国際博物館会議」の欧州支部といった機関がある。財団のトップについては選挙制がとられ、現在はフランス国立図書館長ラシーヌ(Bruno Racine)が任についている(8)

 

図1 Europeana財団の構成

図1 Europeana財団の構成

出典:Europeana財団のウェブサイトに掲載されている図を元に筆者が作成した。

 

2.2 業務

 2011年1月に公表されたEuropeanaの5か年戦略計画(10)は、「収集する」、「支援する」、「提供する」、「巻き込む」という4つの戦略トラックを提示している(E1148参照)。以下では当該戦略計画を軸としつつ、各トラックにおける現在の取り組みについて説明する。

 

(1)「収集する」
 Europeanaはコンテンツ自体ではなく、コンテンツのメタデータ、サムネイル画像、および参加機関のウェブサイトへのリンクを収集している。Europeanaを通じて公開される資料数の増加に寄与しているのが、複数のコンテンツ所蔵機関を館種別や国別で束ねあげ、コンテンツをEuropeanaへ一括提供する機関、すなわち「アグリゲータ」である(図2参照)。現在Europeanaは個別機関よりもアグリゲータからのコンテンツ収集を優先しており(11)、2015年までにすべてのEU加盟国が国レベルのアグリゲータを設置することを目指している(12)。なおアグリゲータのなかには、各国の機関を元としたアグリゲータのほかに、Europeanaが独自に組織したプロジェクト群「Europeanaグループ」(13)もある。Europeanaは各機関における電子化に対して直接の予算拠出をしていないが、プロジェクトの設置という方法で収集コンテンツの増加を図っているといえる。

 

図2 Europeanaのアグリゲータ

図2 Europeanaのアグリゲータ(14)

 

(2)「支援する」
 Europeanaはポータルとしての機能のみならず、文化遺産の電子的提供にかかわる共通の課題、たとえば知的財産権、ビジネスモデル、データ標準化といった領域において文化機関を支援し、また機関相互の協力関係を促進していく役割も担っている。具体的には、ガイドラインや白書の公開、および国際的あるいは国別のカンファレンス開催がこれに該当する。こうした取り組みは、Europeanaとして行われる場合もあれば、先述したEuropeanaグループのプロジェクト内で行われる場合もある。

 

(3)「提供する」
 Europeanaを通じて提供されるコンテンツは、あらゆる利用者にとって「見つけやすく」、「理解しやすく」、「再利用できる」ものでなければならない。たとえばEuropeanaはすでに、モバイル端末用の最適化(15)、ソーシャルメディアを活用したコンテンツの提供(16)、およびポータルを利用者ごとにカスタマイズできる機能“My Europeana”の実装を行っている。現在はセマンティック・ウェブ機能の研究および試験公開も続けている(17)

 

(4)「巻き込む」
 文化機関の外部にいる人々もまた、Europeanaのサービス向上に寄与する主体となりうる。たとえばEuropeanaグループの一つである“Europeana 1914-1918”(18)は、第一次世界大戦に関連する写真・絵葉書・手紙などの資料を民間人から収集しているが、これはコレクション構築段階で利用者を巻き込む試みの一例である。ソフトウェア開発者を巻き込む例としては、Europeana APIを活用した新サービスの開発を競うハッカソン(Hackathon)のイベント“Hack4Europe”(19)がある。

 

3. EU政策の視点からみたEuropeana

 2005年9月のEC声明「i2010: 電子図書館」は、「仮想欧州図書館」(のちのEuropeana)が抱える二つの課題について説明していた(20)。すなわち、第一に「欧州の歴史的豊かさ、文化的・言語的な多様性」を体現する欧州文化遺産を電子的に共有することにより、「EUの文化領域における活動目的を補い、支援する」こと、第二に、欧州文化遺産を適切に保存、流通させることにより、「観光業や教育といったセクターにおいて付加価値サービス・商品生産のために繰り返し利用」可能にすること、である。以下では、前者の目的を「欧州アイデンティティ」、後者の目的を「創造性」という言葉で代表させ、それぞれの観点からEuropeanaの取り組みの現状を紹介する。

 

3.1 欧州アイデンティティ

 Europeanaの構想開始から設立後1、2年ほどのあいだ、関連文書およびEuropeanaに携わった人々、たとえば、構想時のEC情報・メディア担当委員レディング(Viviane Reding)や、同時期のフランス大統領シラク(Jacques Cirac)の発言のなかで、「欧州アイデンティティ」をめぐる言説が顕著にみられた(21)。ECにおけるアイデンティティ議論それ自体は、1973年の『欧州アイデンティティ宣言』(22)を起点としてすでに40年ほどの歴史をもっているが、電子図書館政策におけるこうした言説の盛り上がりは前例のない事態であった。

 というのも、1998年以降に欧州諸国で本格化した電子図書館プロジェクトの多くは、一機関あるいはせいぜい一国で完結する性格のものであり、そこであえて「欧州」のアイデンティティに言及する必要性はなかったからである。また、Europeanaの誕生が、米Googleによる書籍電子化プロジェクト「Googleブックス」(23)に対する欧州の知識人層からの批判を契機としていることも、こうした傾向に影響している。批判者の中にはたとえば、フランス・ミッテラン政権下で国立の電子図書館建設を提唱していた経済学者アタリ(Jacques Attali)(24)や、前フランス国立図書館長ジャンヌネ(Jean-Noël Jeanneney)(25)がいたが、特に後者の論調は、米国および英語の優位、利益重視の書物序列化に不快感を表明するものであり、文化遺産電子化における欧州協働を加速させる主因となった。

 欧州各国がそれぞれ独自に取り組むべきという主張もあるなかで欧州協働が選択された結果、Europeanaは「欧州アイデンティティ」を連帯の要として用いることになった。たとえばEC委員長バローゾ(Manuel Barroso)はEuropeanaの立ち上げ時期に、「Europeanaが人々の欧州文化イメージを変える力を秘めていると信じます。Europeanaは、欧州市民が自らの過去を認識し、欧州共通アイデンティティに対する意識を高めることを容易にしてくれるはずです」と述べていた(26)。現在のEuropeanaは、マーストリヒト条約以降の「多様性の中の統合」理念、欧州文化の重層性を反映させたウェブ展示(27)を多数公開している。またEuropeanaのコンテンツは少数言語を含む欧州31言語での閲覧が可能となっており、ここにも「多様な欧州」への配慮が表れている。

 しかし、欧州外部、とりわけ米国との競合関係のなかで欧州の結束を高めるという構想当初の方針は、Europeanaの実際の運営にあたってほとんど顕在化していない。そのひとつの理由は、文化機関関係者のなかでGoogleへの態度が軟化したことにあるだろう。すなわち、ECがEuropeana参加機関における電子化作業に対する直接的な財政支援を行わず(28)、また欧州経済の低迷を受けて各国の文化関連予算が伸び悩むなかで、英国図書館(British Library:BL)やフランス国立図書館といった大規模館にあっても、電子化に際してGoogleから財政支援を受けるという現実的な選択がなされたからである(E969参照)(29)。現在のEuropeanaは、Googleとの協調、あるいは「米国デジタル公共図書館」(DPLA)(30)やOCLC(31)との協調へと動いている。

 他方では、欧州内部における課題も浮き彫りになっている。2008年のEuropeana開設当初はフランスが圧倒的な資料提供数(全体の50%以上)を誇っていた(32)が、その後他国においても資料提供が出揃ってきた感がある(表参照)。しかし英国(37.79%)やイタリア(32.69%)などは、2015年目標に照らして明らかに提供の遅れがみられる(33)。また、ENUMERATE(34)が2012年に公開した統計資料によれば(E1325参照)、有効回答のあった欧州774機関において、電子化された全資料のうち31%が各機関の独自ウェブサイトで公開されているのに対し、Europeanaに提供されているコンテンツはその半数(15%)にとどまっている(35)。各国、各機関の財政状況や運営方針に影響されるところも大きいが、Europeanaが真の意味で欧州の包括的なポータルとして、欧州アイデンティティの基盤となるためにはいまだ課題が残っているといえる。

 

表  資料提供上位国の資料提供数、提供割合、2015年目標、および進捗度

表  資料提供上位国の資料提供数、提供割合、2015年目標、および進捗度

出典:”Facts & Figures”および“D2.1: Europeana Partner Strategy and Development Plan”を元に筆者が作成した(36)

 

3.2  創造性

 2009年以降のEuropeanaは、その主要文書において、欧州経済を活性化させる鍵概念として「創造性(creativity)」あるいは「創造産業(creative industries)」という語彙を積極的に用いている(37)。また「イノベーションと競争力強化のためのフレームワーク・プログラム(CIP)」内部の「ICT政策支援プログラム(ICT-PSP)」の2012年の予算計画には、「Europeanaと創造性」という費目が置かれている(38)

 そもそも「創造性」および「創造産業」は1990年代末の英国において、製造業の低迷や国家ブランド力の低下を補うための注目領域として政策語彙の地位を得たものであり、「創造産業」とは映像・音楽・出版・ファッションなどの広範な産業領域を一括した呼称である。ここにおいて、市民の創造性を刺激すること、たとえば知的財産権をめぐる諸問題を解決し、コンテンツを可能なかぎりオープン化することが、創造産業セクターの発展に寄与し、ひいてはマクロ経済全体を牽引するという言説が登場したのである(39)。ただし当時の英国においては、創造産業との関わりにおいてオープン化すべき情報といえば何よりもまず、すでに市場に流通しているコンテンツを指しており、公的機関の保有するデータ、たとえば公的文化機関の保有するコンテンツが含まれることはほとんどなかった(40)

 この点、現在のEuropeanaにおける「創造産業」への着目もまた、コンテンツのオープン化という流れの中に置かれているのであるが、そこでは、「創造産業」概念が登場した当時とはやや異なる視座が生まれている。すなわち、2009年以降に先進国で普及した、行政情報を再利用可能な形で一般公開するという「オープン・データ」戦略(狭義には「オープン・ガバメント」(41))の流れと並行するようにして、公的機関の保有するデータもまた、創造産業の発展に貢献するものと考えられるようになっている。ECが2011年12月に公表した「欧州のためのオープン・データ戦略」は、公的機関の保有する情報の再利用に関する2003年のEU指令(42)を更新しつつ、公共セクターによってアクセス提供されているデータについて、(それが第三者の著作権に抵触しないかぎり)商用か非商用かを問わず原則的に自由利用に供されるべきであるとしている(43)。商用利用が容認されたことの背景には、それによって見込まれる莫大な経済効果(ECの試算によればEU域内で年400億ユーロ)(44)がある。また同戦略は、図書館、ミュージアム、アーカイブズの保有するデータもその公開対象に含むと述べている。

 Europeanaにおけるコンテンツのオープン化へ向けた動きは、具体的には以下のように展開している。そもそもEuropeanaは設立当初から「孤児著作物(orphan works)」の権利処理方法に注力し、多くの関連文書を公開してきた(CA1771参照)(45)。また2011年9月12日には、Europeanaに参加する全機関を対象として、2011年末までにその提供資料すべてに関するメタデータの自由利用を許諾すべき旨を要請している(46)。合意がなされない資料についてはEuropeanaから削除されるというこの強制力ある要請は、Europeanaを介して提供されるコンテンツが、創造産業セクターや教育セクターにおける商用利用を含めた広範な用途に供されるうえで必要な措置であるとされていた。そして2012年7月1日、Europeanaに提供されている全資料に関するメタデータがクリエイティブ・コモンズ(47)の新ライセンス、CC0 Public Domain Dedication(48)のもとで二次利用に向けて公開された(E1230参照)。資料のメタデータはLinked Open Data(CA1746参照)として公開され、第三者はAPIを通じてそれらの自由利用を享受できる。EC副委員長クルース(Neelie Kroes)はEuropeanaのCC0全面適用に際して、「オープン・データという強力なアイディアとEuropeanaという文化的な資産は、両者がひとつに合わさってこそ良い結果をもたらしうるのです」と述べている(49)。Europeanaにおけるクリエイティブ・コモンズへの対応は、ECの「創造産業」への眼差し、および「オープン・データ」戦略と深く関わっており、したがってEuropeanaの経済効果、すなわちEuropeanaを通じて公開されるデータの利用がもたらす経済効果を検討する意義は大きい。

 

4. おわりに

 本稿がみたように、Europeanaのこれまでの歩みは、文化遺産ポータルとして量、質ともに前代未聞のものであった。Europeanaが構築してきた欧州文化機関およびその外部の主体との協調関係、膨大な資料群、文化的・経済的な企図は、一方では欧州あるいはEUという場所に特有のものであるが、他方では別の地域における類似プロジェクトにとっての有益な先例となるだろう。

 

(1) Europeana. http://www.europeana.eu/portal/, (accessed 2012-09-30).

(2) “Facts & Figures”. Europeana.
http://pro.europeana.eu/web/guest/about/facts-figures, (accessed 2012-09-30).

(3) Ibid.

(4) “Communication from the Commission to the Council, the European Parliament, the European Economic and Social Committee and the Committee of the Regions – ‘i2010 – A European Information Society for growth and employment’”. European Commission. 2005-06.
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=CELEX:52005DC0229:EN:NOT, (accessed 2012-09-30).
“Communication from the Commission to the European Parliament, the Council, the European Economic and Social Committee and the Committee of the Regions – i2010 : digital libraries”. European Commission. 2005-09-30.
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=CELEX:52005DC0465:EN:NOT, (accessed 2012-09-30).

(5) “Action 2: Preserving orphan works and out of print works”. European Commission.
http://ec.europa.eu/information_society/newsroom/cf/fiche-dae.cfm?action_id=161&pillar_id=43&action=Action%202%3A%20Preserving%20orphan%20works%20%20and%20out%20of%20print%20works, (accessed 2012-09-30).

(6) “Strategic plan 2011-2015”. Europeana. 2011-01-14.
http://pro.europeana.eu/c/document_library/get_file?uuid=c4f19464-7504-44db-ac1e-3ddb78c922d7&groupId=10602, (accessed 2012-09-30).

(7) “The Europeana Foundation”. Europeana.
http://pro.europeana.eu/web/guest/foundation, (accessed 2012-09-30).

(8) “French National Librarian to chair the Europeana Foundation”. Europeana. 2011-11-02.
http://pro.europeana.eu/web/guest/press-release;jsessionid=C2221220383717479521C357445780FF?p_p_id=itemsrssportlet_WAR_europeanaportlet_INSTANCE_Gf2y&p_p_lifecycle=1&p_p_state=normal&p_p_mode=view&_itemsrssportlet_WAR_europeanaportlet_INSTANCE_Gf2y_…, (accessed 2012-09-30).
なお前任者はドイツ国立図書館長であった。Europeanaの人事および運営において図書館関係者が先導的立場にたつ傾向があるが、これはEuropeana立ち上げに際して「欧州国立図書館長会議」のポータルサイト「欧州図書館(The European Library:TEL)」が果たした模範的役割、および現在のEuropeanaコンテンツにおけるTELの貢献度が理由であろう。

(9) 筆者作成。以下を参照。
“The Europeana Foundation”. Europeana.
http://pro.europeana.eu/web/guest/foundation, (accessed 2012-09-30).

(10) “Strategic plan 2011-2015”. Europeana. 2011-01-14.
http://pro.europeana.eu/c/document_library/get_file?uuid=c4f19464-7504-44db-ac1e-3ddb78c922d7&groupId=10602, (accessed 2012-09-30).

(11) “Europeana Content Strategy”. Europeana. 2009-08.
http://blog.libver.gr/edlocal/ufiles/Europeana%20Content%20Strategy.pdf, (accessed 2012-09-30).

(12) “Strategic plan 2011-2015”. Europeana. 2011-01-14.
http://pro.europeana.eu/c/document_library/get_file?uuid=c4f19464-7504-44db-ac1e-3ddb78c922d7&groupId=10602, (accessed 2012-09-30).

(13) “Projects”. Europeana.
http://pro.europeana.eu/web/guest/projects, (accessed 2012-09-30).
なお、TELのように既存プロジェクトでありながらグループに数えられる機関もある。

(14) 筆者作成。Europeanaグループのプロジェクト一覧について、Ibid.参照。

(15) Europeana Connect. “Culture on the go”. Europeana Professional. 2011-9-30.
http://pro.europeana.eu/documents/858566/858665/Culture+on+the+Go, (accessed 2012-09-30).

(16) 各SNSにおけるEuropeanaのアカウントは、以下の通り。
“Europeana”. Twitter. https://twitter.com/EuropeanaEU, (accessed 2012-09-30).
“Europeana”. Facebook.
https://www.facebook.com/Europeana, (accessed 2012-09-30).
“Europeana” Pinterest.
http://pinterest.com/europeana/, (accessed 2012-09-30).
Europeanaは戦略計画において、これらのアカウントを経由したEuropeanaポータルへのアクセスが増加していると述べている。

(17) Research prototype of Europeana’s semantic search engine.
http://eculture.cs.vu.nl/europeana/session/search, (accessed 2012-09-30).

(18) Europeana 1914-1918. http://www.europeana1914-1918.eu/en, (accessed 2012-09-30).

(19) “Hackathons”. Europeana.
http://pro.europeana.eu/web/guest/hackathons, (accessed 2012-09-30).

(20) “i2010: digital liberaries”. European Commission. 2005-09-30. http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=COM:2005:0465:FIN:EN:HTML, (accessed 2012-09-30).

(21) その他、Europeana設立の契機となった、欧州6か国の国家元首および国家首脳からEC・欧州理事会へ宛てられた書簡には、「欧州の図書館遺産は比類なき豊かさと多様性を有しています。これらの遺産は、全歴史にわたって外の世界と対話を続けてきたこの大陸(訳註: 欧州)の普遍主義を例証するものです」とある。
“Letter of 28 April 2005”. European Commossion. 2005-04-28.
http://ec.europa.eu/information_society/activities/digital_libraries/doc/letter_1/index_en.htm, (accessed 2012-09-30).

(22) “Document on the European Identity”. European Political Cooperation. 5th ed. 1988, p. 48-54.
http://aei.pitt.edu/4545/1/epc_identity_doc.pdf, (accessed 2012-09-30).

(23) 2003年12月に「Googleプリント(Google Print)」の名称で構想が明らかにされ、翌年12月に本格運用が開始された。
Google Books. http://books.google.com/, (accessed 2012-09-30).

(24) Jacques Attali. “Lançons la numérisation au niveau français”. L’EXPRESS, 2005-03-28.
http://www.lexpress.fr/actualite/high-tech/lancons-la-numerisation-au-niveau-francais_486520.html, (accessed 2012-09-30).
ここで彼は、「本当に電子化の政治を開始したいならば、我々固有の責任を安易に逃れる方法として欧州規模で事態に対処するのではなく、国家規模でそれに対処すべきである」と述べている。

(25) Jean-Noël Jeanneney. Quand google défie l’europe. Mille et une nuits, 2010, 219p.

(26) “Speech of Manuel Barroso”. European Commission. 2008-11-20.
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=SPEECH/08/632, (accessed 2012-09-30).
こうした熱心さの背景には、以降本文で述べるような理由の他に、オランダとフランスの国民投票における欧州憲法草案の否決(2005年)など、欧州統合に対する抵抗感が浮き彫りになった現状にあって、共通の文化的価値観や欧州文化遺産への意識欠如が懸案事項となっていたという事実を指摘できるだろう。

(27) 以下はその一例。
“Yiddish Theatre in London”. Europeana.
http://exhibitions.europeana.eu/exhibits/show/yiddish-theatre-en, (accessed 2012-09-30).
“European Sport Heritage”. Europeana.
http://exhibitions.europeana.eu/exhibits/show/european-sports-en, (accessed 2012-09-30).
“Untold Stories of the First World War”. Europeana.
http://exhibitions.europeana.eu/exhibits, (accessed 2012-09-30).

(28) 各文化機関における電子化作業への財政支援については、Europeana開設以前の段階にあってすでにEC委員レディングによって否定されていた。
Jean-Noël Jeanneney. op. cit.

(29) 英国図書館については、
“The British Library and Google to make 250,000 books available to all”. British Library. 2011-06-20.
http://pressandpolicy.bl.uk/Press-Releases/The-British-Library-and-Google-to-make-250-000-books-available-to-all-4fc.aspx, (accessed 2012-09-30).
イタリア国立図書館については、
“A digital renaissance: partnering with the Italian Ministry of Cultural Heritage”. Google. 2010-03-10.
http://googleblog.blogspot.jp/2010/03/digital-renaissance-partnering-with.html, (accessed 2012-09-30).

(30) 現在DPLAはEuropeanaの協力のもと、米国に渡った欧州系移民の歴史にかかわるウェブ展示を計画している(2012年12月公開の見込み)。
“Update on DPLA-Europeana Virtual Exhibition”. DPLA. 2012-06-20.
http://dp.la/2012/06/20/update-on-dpla-europeana-virtual-exhibition/, (accessed 2012-09-30).

(31) “Europeana and OCLC agree on approach for member libraries to contribute metadata to the europeana.eu portal”. OCLC. 2012-09-04.
http://www.oclc.org/news/releases/2012/201257.htm, (accessed 2012-09-30).

(32) “Europeana Content Strategy”. Europeana. 2009-08.
http://blog.libver.gr/edlocal/ufiles/Europeana%20Content%20Strategy.pdf, (accessed 2012-09-30).

(33) この傾向は15位以下の国々においてさらに顕著である。同様の方法で下位国について進捗度を計算すると、大多数の国が30%を下回る。下位国のデータについては以下を参照。
Friberg, Annette et al., “D2.1: Europeana Partner Strategy and Development Plan”. Europeana Professional. 2012-07.
http://pro.europeana.eu/documents/866067/983565/D2.1+Europeana+Partner+Strategy+and+Development+Plan, (accessed 2012-09-30).

(34) ENUMERATE. http://www.enumerate.eu/, (accessed 2010–09-30).

(35) “Survey Report on Digitisation in European Cultural Heritage Institutions 2012”. ENUMERATE. 2012-05.
http://www.enumerate.eu/fileadmin/ENUMERATE/documents/ENUMERATE-Digitisation-Survey-2012.pdf, (accessed 2012-09-30).
ただし本論で言及した調査結果は母数が774という比較的小規模のものであることには注意を要する。なお同資料は、Europeanaを通じて提供されるコンテンツは2014年までに倍増するとの回答機関の見通しを掲載している。

(36)各国の資料提供数について以下を参照。
“Facts & Figures”. Europeana.
http://pro.europeana.eu/web/guest/about/facts-figures, (accessed 2012-09-30).
2015年目標については以下を参照。
Friberg, Annette et al.,“D2.1: Europeana Partner Strategy and Development Plan”. Europeana Professional. 2012-07.
http://pro.europeana.eu/documents/866067/983565/D2.1+Europeana+Partner+Strategy+and+Development+Plan, (accessed 2012-09-30).

(37) ただしこのことは、2009年以前にはそうした語彙がまったく用いられていなかったことを意味しない。たとえば、
Council of the European Union. “Press Release 2616th Council Meeting”.
http://ue.eu.int/ueDocs/cms_Data/docs/pressData/en/educ/82695.pdf, (accessed 2012-09-30).
は、創造産業が欧州経済に果たす役割と、遺産電子化における欧州協働の必要性に言及している。しかしその頻度は2009年以降のEuropeanaにおいて明らかに増加している。Europeanaが公開したもののうち、とりわけ以下の資料群において“creative”、あるいは“creativity”という語を多く見つけることができる。
“Europeana – next step”. European Commission. 2009-09-28.
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=COM:2009:0440:FIN:en:PDF. (accessed 2012-09-30).
“The Europeana Public Domain Charter”. Europeana. 2010-04.
http://pro.europeana.eu/c/document_library/get_file?uuid=d542819d-d169-4240-9247-f96749113eaa&groupId=10602, (accessed 2012-09-30).
“The New Renaissance”. Comité des Sages. 2011-01-10.
http://ec.europa.eu/information_society/activities/digital_libraries/doc/refgroup/final_report_cds.pdf, (accessed 2012-09-30).
“Strategic plan 2011-2015”. Europeana. 2011-01-14.
http://pro.europeana.eu/c/document_library/get_file?uuid=c4f19464-7504-44db-ac1e-3ddb78c922d7&groupId=10602, (accessed 2012-09-30).
“White Paper No.2 – The problem of the Yellow Milkmaid”. Europeana. 2011-11.
http://pro.europeana.eu/documents/858566/2cbf1f78-e036-4088-af25-94684ff90dc5, (accessed 2012-09-30).

(38) “ICT PSP Work Programme 2012”. CIP ICT Committee. 2012-01-02.
http://ec.europa.eu/information_society/activities/ict_psp/documents/cip_ict_psp_wp2012_adopted_01022012.pdf , (accessed 2012-09-30).

(39) 英国政府が2001年に公開した文書は、創造産業にとってのボトルネックとして「知的財産権」の問題を挙げていた。
“Creative Industries Mapping Document 2001”. Department for Culture, Media and Sport.
http://webarchive.nationalarchives.gov.uk/+/http://www.culture.gov.uk/reference_library/publications/4632.aspx, (accessed 2012-09-30).
「創造産業」とマクロ経済の関係については以下を参照。
David Throsby. The Economics of Cultural Policy. Cambridge University Press, 2010, 292p.

(40) たとえば前註に挙げた“Creative Industries Mapping Document 2001”は、知的財産権のクリアランスにおける行政の役割を認めてはいるが、行政情報そのものが創造産業に活かされるという筋道には触れていない。
“Creative Industries Mapping Document 2001”. Department for Culture, Media and Sport.
http://webarchive.nationalarchives.gov.uk/+/http://www.culture.gov.uk/reference_library/publications/4632.aspx, (accessed 2012-09-30).

(41) たとえばフランス政府によるものは、
data.gouv.fr. http://www.data.gouv.fr/, (accessed 2012-09-30).

(42) “Directive 2003/98/EC of the European Parliament and of the Council of 17 November 2003 on the re-use of public sector information”. European Parliament and European Council.
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2003:345:0090:0096:EN:PDF, (accessed 2012-09-30).

(43) 以下を参照。
“Digital Agenda: Turning government data into gold”. European Commission. 2011-12-12.
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/11/1524, (accessed 2012-09-30).
EUは2013年に自身の「オープン・データ」ポータルを公開する見込みである。
“Open Data Portals”. European Commission.
http://ec.europa.eu/information_society/policy/psi/open_data_portal/index_en.htm, (accessed 2012-09-30).

(44) “Digital Agenda: Turning government data into gold”. European Commission. 2011-12-12.
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-11-1524_en.htm?locale=en, (accessed 2012-09-30).

(45) 2009年から2010年にかけてEuropeana周辺で公表された孤児著作関連資料の一覧については以下を参照。
“orphan works”. Europeana Connect.
http://www.europeanaconnect.eu/news.php?tag=orphan+works, (accessed 2012-09-30).

(46) “Europeana Data Exchange Agreement”. Europeana. 2011-09-12.
http://pro.europeana.eu/documents/900548/8a403108-7050-407e-bd00-141c20082afd, (accessed 2012-09-30).

(47) Creative Commons. http://creativecommons.org/, (accessed 2012-09-30).

(48) “About CC0 – ‘No Rights Reserved’ ”. Creative Commons.
http://creativecommons.org/about/cc0, (accessed 2012-09-30).

(49) “Europeana’s Huge Cultural Dataset Opens for Re-use”. Europeana.
http://pro.europeana.eu/press-releaseCC0, (accessed 2012-09-30).

 


古山俊介. Europeanaの動向:「欧州アイデンティティ」および「創造性」の観点から. カレントアウェアネス. 2012, (314), CA1785, p. 17-23.
http://current.ndl.go.jp/ca1785