CA1419 – IFLAのILLガイドライン改訂 / 大塚奈奈絵

カレントアウェアネス
No.265 2001.09.20


CA1419

IFLAのILLガイドライン改訂

国際図書館連盟(IFLA)による国際的な図書館間相互貸借(ILL)のためのガイドライン作りは1936年にまで遡る歴史のあるものだが,その最新版「国際貸出と文献提供:手続きのための原則とガイドライン(International Lending and Document Delivery: Principles and Guidelines for Procedure)」が2001年3月にIFLA専門理事会によって承認された。1987年以来の大幅な改訂で,「依頼館は,電子的なILLの依頼が可能な場合には,それを用いるよう努める」としたうえで,前回修正以後に作成された「電子メールを用いたILLリクエスト送付のためのIFLAガイドライン(IFLA Guidelines for Sending ILL Requests by Email)」(2000.2),「IFLA Faxガイドライン(IFLA Fax Guidelines)」(1996.1),「ILL回答コードに関する勧告(Recommendations for Interlibrary Loan Response Codes)」(2001.4)等,一連のガイドラインを織り込んだ内容である。

「電子メールを用いたILLリクエスト送付のためのIFLAガイドライン」は,英国図書館文献供給センター(BLDSC)などの大規模なILLシステムが,ISO ILL Protocol Standard(ISO10160,ISO10161-1,ISO10161-2, CA1409参照)のような定型化されたメッセージの交換用のプロトコルの実装を開始する一方で,現実には電子メールを用いたフリーフォームのILLリクエストが広く普及していることから,この電子メールによるフリーフォームのILLリクエストに必要な要素を定めている。「IFLA Faxガイドライン」は,FaxでILLを申し込む際の要素とレイアウトを定めたもので,各要素の名称はISO ILL Protocolに準拠している。

「ILL回答コードに関する勧告」は,貸出や複写を申し込まれた機関が資料を提供できない場合に,その理由を申込館に具体的に通知するために用意された28項目のコード表である。IFLAのILL事務局では,各国にこのコード表の翻訳を呼びかけており,今年8月現在,英語,ドイツ語,デンマーク語のリストが公表されている。

今回の新ガイドラインの承認は,ILLの申込が従来の郵便やFaxから電子的な手段へと移りつつある現状を反映したものであると言えよう。

大塚 奈奈絵(おおつかななえ)

Ref: IFLA. International Lending and Document Delivery: Principles and Guidelines for Procedure. [http://www.ifla.org/VI/2/p3/ildd.htm] (last access 2001. 8. 15)
IFLA. IFLA Guidelines for Sending ILL Requests by Email. [http://www.ifla.org/VI/2/p3/g-ill.htm] (last access 2001. 8. 15)
IFLA. The IFLA Fax Guidelines. [http://www.ifla.org/VI/2/p3/g-fax.htm] (last access 2001. 8. 15)
IFLA. Recommendations for Interlibrary Loan Response Codes. [http://www.ifla.org/VI/2/p3/rcodes.htm] (last access 2001. 8. 15)