CA1368 – ドイツ図書館統計,オンラインで集計・提供開始 / 山岡規雄

カレントアウェアネス
No.258 2001.02.20


CA1368

ドイツ図書館統計,オンラインで集計・提供開始

ドイツにおける唯一の総合的な図書館統計であるドイツ図書館統計(Deutsche Bibliotheksstatistik: DBS)の統計項目に関する改訂については,本誌でも以前に紹介したが(CA1308参照),その後,集計方法についても改革が行われ,2000年からデータの集計・提供がオンライン化されることとなった。これは,ドイツ研究協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft)の助成による「公共図書館の調査票データのオンラインによる把握に関する双方向的プログラムシステムの開発ならびにインターネットにおける集計結果の提供」と題するプロジェクトが,2000年の9月に終了したことを受けての改革であった。

各図書館にはIDとパスワードが付与され,統計データはインターネット上で直接入力することができるため,従来のように郵送でアンケート用紙を返送する必要がなくなる。もちろん,インターネットに接続していない図書館のために,従来の方式でのデータ報告も可能となっている。集計されたデータは,DBS参加館に限らず,インターネット上で一般に公開されており,表形式で表示されるhtmlファイルと,データ加工が容易なcsvファイルの2種類のファイルが用意されている。現在,インターネット上で参照できるのは1999年のデータである。

一方,従来の紙媒体によるDBSの刊行は,1998年のデータで終了となった。データ入力についてはインターネットに接続していない図書館への配慮がなされていたのに対し,集計結果については突然の打ち切りという形となった。この打ち切りに関しては,それまで紙媒体を刊行していた旧ドイツ図書館研究所(Ehemaliges DBI: EDBI)の清算に伴う出版事業の縮小という事情が影響しているものと考えられる。EDBIの出版事業は,ベルリン中央州立図書館へ移行された一部を除き(CA1336参照),ほとんどが継続不可能と目されており,オンライン化が実現したDBSは,格好のリストラの対象となったものと思われる。したがって,今回のDBSのオンライン化は,利便性,効率性という点で,それ自体は歓迎すべき出来事であったといえるが,こうした事情を勘案するならば,ドイツ図書館界にとって手放しで喜べる話題ではないのかもしれない。

山岡 規雄(やまおかのりお)

Ref: Deutsche Bibliotheksstatistik (DBS) [http://www.bibliotheksstatistik.de/] (last access 2000.11.14)
Ehemaliges Deutsches Bibliotheksinstitut: Beendigung der Publikationstatigkeit - Anderungen beim Vertrieb. Bibliotheksdienst 34(10) 2000 [http://www.dbi-berlin.de/dbi_pub/bd_art/bd_2000/00_10_13.htm] (last access 2000.11.14)