CA1317 – 英国図書館界における大物人事異動 / 図書館研究所

カレントアウェアネス
No.248 2000.04.20


CA1317

英国図書館界における大物人事異動

2000年を迎えて,英国図書館界では国の図書館行政組織の大幅な編成替えを中心に,図書館協会(Library Association: LA)と情報専門家協会(Institute for Information Scientists: IIS)との統合など,21世紀に向けての再編成が急速に進んでいる(CA12791295参照)。また,それと少なからず連動していると思われる主要人事が相次いでいる。その幾つかを紹介したい。

まず,2000年を期してLA会長にコーニッシュ(Graham Cornish)氏が就任した。英国図書館(BL)に長く在籍し,文献提供サービス及びそれに伴う著作権問題の専門家として世界的に著名である。英国を代表する上記の情報専門職団体の統合を始め,新しい専門職のあり方を探っていくうえでのリーダーシップが期待される。

BL館長の交代も大きなニュースである。ラング現館長に代わって,7月からはブリンドリー(Lynne Brindley)リーズ大学副学長代行兼図書館長が指揮をとることになった。大学運営を中心に民間企業の経験もあり,BLにも1979年から85年まで在籍して館長室長などを務めている。通常は行政官僚のポストである同館館長職に図書館専門家が就くのは初めてであり,スミス文化相やアシュワースBL理事長からも大きな期待の言葉が寄せられている。図書館行政再編の中でBLが重要な役割を果たすことを政府から要求されており,それに伴う同図書館の諸機能の見なおしも始まっている。その一環として,高等教育における図書館・情報サービスの改善を謳ったレポートで有名なフォレット卿やBLの前理事長で著名な哲学者であるケニー卿など,学術・情報・図書館界の有名人をそろえたシンクタンクの設置も決まっており,新館長の今後が注目される。

最後に,英国図書館政策に関わる基本方針策定の最高機関であった図書館情報委員会(LIC)委員長にロイター編集局長のウッド(Mark Wood)氏が就任し,新設の博物館・図書館・文書館評議会(MLAC)に統合される3月末までの準備にあたったことを付言しておきたい。因みに,前任者のエヴァンズ氏は,新評議会議長になる予定である(CA1295参照)。

なお,英国の他にも,カナダ,オーストラリアなどの国立図書館で,自国のみならず世界的に図書館界で活躍をしてきた有名館長の交代が相次いでいる。

Ref:金容媛 イギリスにおける図書館情報政策の動向 図書館研究シリーズ(36)(近刊予定)