CA1273 – フランス総合目録 / 松浦茂

カレントアウェアネス
No.241 1999.09.20


CA1273

フランス総合目録

フランス総合目録(Catalogue collectif de France)は,フランスの図書館の目録をオンライン上で統合するものである。

背景

すでにフランスには,逐次刊行物の総合目録(Catalogue collectif national des publications en serie)および大学図書館の総合目録(Pancatalogue)が存在する。前者は1983年,後者は1992年に,いずれも高等教育書誌センター(Agence bibliographique de l'enseignement superieur: ABES)のイニシアチブにより創設されたものであり,オンラインでの提供がなされている。ABESは文部研究省管轄下の公施設法人であり,上記の二つの目録を中心とする総合目録と,図書館間貸出サービス(Pret entre bibliotheques: PEB)からなる「大学システム」(systeme universitaire: SU)の管理に責任をもっている。

また,国立図書館の電子的カタログBN-OPALEが1988年から提供され,公共図書館の情報化も進んできた。こうした中,フランス図書館(現在のフランス国立図書館フランソワ・ミッテラン館)建設計画の立ち上げと歩調をあわせる形で,1989年4月にフランス総合目録実現に関する閣議決定がなされた。

目的および規模

フランス総合目録は,統一的なデータベースを提供するとまではいかなくとも,フランスの主要図書館に存在する資料の特定,所在確認,および貸出・複写を可能にする統合的なシステムを提供することを目的としている。

統合の対象となるのは,フランス国立図書館(BNF),大学・調査図書館,および大規模公共図書館である。この事業のために,公共図書館54館および大学・調査図書館31館において目録の遡及入力がなされた。その結果,2000年には,BNF,大学・調査図書館および大規模な公共図書館の約1,300〜1,400万件の資料の所在を明らかにすることが可能となる。統合される目録の規模は,館種別で次の通りである。1)BNFの印刷物および視聴覚資料目録(書誌データ数700万件),2)大規模公共図書館の古い特殊なコレクションの目録(同250万件),3)大学・調査図書館の遡及変換された目録(同450万件)。

以上3つの目録を,同一の検索式から検索できるよう,「バーチャル」に統合する。

事業主体

この事業は,BNF(文化省),文部研究省,および書誌情報の生成と頒布に責任のある諸機関にまたがる省際的プロジェクトと位置づけられ,総経費として4,150万フランが見込まれている。

スケジュール

1989年の事業開始決定から数年の準備期間に,参加館の目録が遡及的に電子化されるなどの体制づくりがなされた。

事業化は,次の3段階により,1997年から1999年にかけて行われるとされているが,最終的には2000年ごろまでずれ込みそうである。

(1) 1998年5月より,「図書館・資料センター総覧」サービスがインターネットにより提供されている(http://www.ccfr.bnf.fr)。このサービスでは,3,500館の中から,以下の検索条件に該当する図書館・資料センターの情報を得ることができる。1)図書館名,都市名,県名,館種,2)コレクション名,3)蔵書の主題,言語,媒体,出版年

(2) 1999年中に,目録への遠距離アクセスが開始される。BNF,公共図書館,大学・調査図書館の各々のZ39.50サーバに対し,利用者側のウェブ又はZ39.50クライアントによるアクセスがなされる。遠距離アクセスサービスの実現は,参加館のサービス提供の進行具合に依存する。提供の体制が整った参加館から,順次アクセスが可能となる見込みである。

(3) 1999年12月には図書館間貸出が開始される。(2)で所在を確認した後,利用者は貸出又は複写により資料を閲覧できる。

松浦 茂(まつうらしげる)

Ref: Archier, Edwige et al. Le catalogue collectif de France. Bull Bibl Fr 43 (4) 23-27, 1998
Le catalogue collectif de France. [http://www.ccfr.bnf.fr/](last access 1999. 8. 24)
Agence bibliographique de l'enseignement superieur. [http://www.abes.fr/](last access 1999. 7. 6)
宮川隆泰 21世紀をめざす新国立図書館の誕生 情報管理 42(2)126-133,1999