付録F. 電子ジャーナルへの対応に関する回答
「電子ジャーナル及び新たな学術出版モデルに対する方針及び実務に関するアンケート調査」(付録F)の設問x{2160}Aに対する回答を示す。一部要約・整理した部分がある。
(1) 電子ジャーナルの提供を積極的に進めているか?
米国医学図書館
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積極的に進めており、閲覧室で利用されている。電子ジャーナルが使えるようになって印刷雑誌の請求数は減少し,コレクションの損耗も減っている。電子ジャーナルはILLにも用いられる。当館は,ILLを許可しない電子ジャーナルのライセンスにサインするつもりはない。MEDLINE/PubMedに含まれる多数のジャーナルは,そのオンライン版を使って索引がとられている。契約した電子ジャーナルはこの目的にも使われている。当館は,他の図書館やその利用者,PubMed Linkout機能を介して利用するその他個人のために,電子ジャーナルへのアクセスを進めている。PubMed Centralは電子ジャーナルの永続的なアーカイブとなっている。 |
米国農学図書館 |
Digital Desktop Library for USDA(DigiTop)と呼ばれるプログラムを通じて,オンサイトの利用者や米国農務省(USDA)の職員に対して数多くの電子ジャーナルのアクセスを提供している。 |
カナダ国立図書館 |
はい。カナダ国立図書館の主たる目標は,カナダの全出版物を収集しそれを長期に保存することである。これには,従来型の出版資料とともにオンライン出版物も含まれる。当館は,カナダの出版社から収集したもの以外にも,カナダ人の研究を支援するような有料の電子ジャーナルやデータベースについてもアクセス権を購入している。当館は収集したものが国民にアクセス可能であることが大切だと強く信じている。 |
カナダ国立科学技術情報機関 |
はい。 |
英国図書館 |
広範な電子ジャーナルへのアクセスの提供を積極的に進めている。電子コピーが利用できるものは,書架からハードコピーを除いたものもある。 |
ベルリン国立図書館 |
はい。 |
フランクフルトドイツ図書館 |
当館の収集方針は法定納本法のみに基づいており,実際のところ同法には全般的にオンライン出版物は含まれていない。将来的にDDBは,外部情報源の契約ではなく,電子ジャーナルのための法定納本手続きを策定するつもりである。そして,主にDDBにアーカイブされたコピーへのアクセスを提供する予定である。商業出版社からの納本資料は館内だけでアクセス可能とするが,無料のオンライン資料へは自由なアクセスを提供する。 |
ハノーヴァー大学技術情報図書館 |
はい。 |
スウェーデン王立図書館 |
この調査への回答は,当館が幾つかの異なる役割を担っているということに影響される。王立図書館(KB)は,スウェーデンの国立図書館であると同時に人文科学を得意とする研究図書館でもある。国立図書館としてのKBの役割を果たしながら,BIBSAM (Department for National Coordination and Development)は,スウェーデンの大学に代わってデータベースアクセスに関するコンソーシアムライセンス契約の交渉を行っている。研究図書館としてのKBとKBの一部局であるBIBSAMに別の役割や目的がある場合には,2つの回答を示す。〔訳者注:以下,<KB><BIBSAM>と区別する〕 <KB> 中心は(まだ)印刷雑誌である。 <BIBSAM> スウェーデンの研究機関における電子ジャーナルへのアクセスの提供と促進は,BIBSAMコンソーシアムの主な目標の一つである。主要な出版社とビックディールライセンスを結んで,参加大学の利用者に対して3,500以上の電子ジャーナルへのアクセスを提供している。 |
オーストラリア国立図書館 |
はい。 |
中国国家図書館 |
はい。 |
韓国国立中央図書館
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はい。しかし電子ジャーナルに関する明文化された方針はない。我々は定期的に電子ジャーナルについての利用者フィードバックを得ており,その結果を資料購入時に考慮する。 |
(2) 電子ジャーナルが目録に含まれているか?
米国医学図書館
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全ての電子ジャーナルは完全に目録が取られ,統合図書館システム(Endeavor Voyager)を通して提供されている。 |
米国農学図書館 |
ほとんどの電子ジャーナルの書誌レコードは,いくつかの理由で当館の目録には含まれていない。DigiTopは実験プロジェクトとして始められ,最近になってようやく継続プログラムになった。当館はウェブベースの新しい目録へ最近移行した。外部の情報源から逐次刊行物の所蔵の書誌レコードを手に入れるという選択肢について調査している。 |
カナダ国立図書館 |
当館が所蔵するものは全てリスト化され,目録でアクセスできる。 |
カナダ国立科学技術情報機関 |
電子形態で購入した資料は全て目録をとっている。 |
英国図書館 |
提供する電子ジャーナルの目録作成を開始した。しかしまだ,目録タイトルから当該資料へクリックで(”click-through”)直接アクセスすることはできない。将来的には,この機能を開発するつもりである。 |
ベルリン国立図書館 |
はい。 |
フランクフルトドイツ図書館
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はい。 |
ハノーヴァー大学技術情報図書館 |
はい。 |
スウェーデン王立図書館 |
<KB> はい。ローカルなOPAC“Regina”から,全文へのアクティブリンクが利用できる場合もある。 <BIBSAM> コンソーシアムライセンスに含まれる電子ジャーナルは全国総合目録LIBRISに入っている。参加図書館は,そこから各館のOPACにダウンロードできる。このサービスはKBのLIBRIS部門が開発中であり,まだ完成していない。 |
オーストラリア国立図書館 |
はい,多くの購読雑誌に対して目録からリンクがはられている。それには我々が購読しているEBSCOやGaleのサービス中のものが全て含まれている。更にフルテキストが許可された情報資源へのリンクを付け加えているところである。 |
中国国家図書館 |
いいえ。しかし当館のウェブサイト上には雑誌の目録がある。 |
韓国国立中央図書館
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いいえ。しかし直接アクセスのためにウェブサイト上で電子ジャーナルを掲示している。 |
(3) 電子ジャーナルは法定納本制度の対象か?対象である場合は、規定の内容。
(法定納本図書館の回答のみを示す。)
カナダ国立図書館 |
カナダの法定納本はカナダ図書館・公文書館で管理されている。現段階(2004年2月2日)では,オンライン出版物は公式には法定納本制度の対象となっていない。しかしあと2ヶ月ほどで,カナダで製作された全てのオンライン出版物を法定納本の対象とする法律が可決されるだろうとみている。この法律は“Library and Archives Act”の一部で,現在議会に提出されている。この法案と関連する法定納本規定が可決されれば,カナダで出版された電子ジャーナルが全て納本の対象となる。 当館は1993年から,カナダで出版された電子ジャーナルやオンライン出版物について,取得やアクセス権を買い取れる限りその収集に努めてきた。現在では,そのコレクションは13,000近い数となっており増え続けている。 |
英国図書館 |
英国議会は2003年法定納本図書館法を可決した。これは法定納本の概念を電子等のその他の非印刷出版物に拡張したもので,一連の規則に基づいて段階的に施行される予定である。当館は,2000年から非印刷出版物の自発的納本計画を監督する図書館・出版社合同委員会を主宰し,2003年法を首尾よく通過させるためのロビー活動や働きかけを主導してきた。また,当館は最近結成された法定納本に関する合同委員会の委員長を(出版社側のDigital Content Forumと共に)務めており,委員会では同法の漸進的施行のための準備作業を開始している。 |
フランクフルトドイツ図書館 |
当館は,ドイツ語の出版物とドイツ国内で発行された出版物を全て収集,整理し,永久に保存するよう法定委任されている。その法律には,物理的な媒体で提供されているものに限って,デジタル出版物も含まれる。オンライン出版物は,まだ法定委任ではカバーされていない。収集に関しては,出版社や図書館員,情報専門家,政府の代表者への予備ヒアリングにおいて既にいくつかの基本方向が定められ,1997年6月に行われたドイツ書籍販売組合の出版社委員会によって可決された。 ・オンライン出版物は原則として,ネットワーク経由で,必要な場合はデータ容器に入れて送付されなければならない。 ・異なるフォーマットで発行されたオンライン出版物は図書館が求めるフォーマットで送付されなければならない。 ・同じコンテンツが物理的な媒体とオンラインで同時に提供されている出版物の場合は,両方の版を送付しなければならない。 ・同じコンテンツが同時にいくつかの売り手によって提供されている出版物の場合は,一つのコピーだけを提出すればよい。 ・DDBは長期保存目的でオンライン出版物を1部複製することが認められており,それによってコンテンツの真正性が保証されている。 これを基に,当館は何年間にもわたり,出版社や製作者と共にオンライン出版物の送付やアーカイビング,長期保存に関する実験を行っている。この作業グループElectronic Deposit Libraryでは,当館がオンライン出版物のアーカイブスとなるための条件に関するテストと交渉がなされた。
Electronic Deposit Library作業グループでの協力の他に,Springer publishing 社と協力関係がある。400以上もの電子逐次刊行物の全文とメタデータが,プロトタイプの手順によって,DDBのアーカイブスサーバに伝送・保存された。 この経験に基づいて,当館は出版社やその他の関係組織により頒布されるオンライン出版物の送付手順の導入を進めている。出版社やその他の関係組織は,その手順によって,ある一般的な条件の下にオンライン出版物を送付することができる。これにより,当館は新たな出版メディアに関わる難問に挑んでいる。 |
スウェーデン王立図書館 |
いいえ。しかし,政府の委任を受けて行った最近の当館のレビューでは,法定納本制度にデジタル資料を含めるべきだとされている。 |
オーストラリア国立図書館 |
電子ジャーナルは現時点では法定納本法の範囲に入っていない。当館は多くのオーストラリアの出版社と契約を結んで,図書館コレクションの収集のため,定期的に電子出版物を受け取ることにしている。 |
中国国家図書館 |
いいえ。 |
韓国国立中央図書館
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いいえ,まだである。 |
(4) 国内発行の電子ジャーナルは全国書誌の収録対象か?
(全国書誌作成機関の回答のみを示す。)
カナダ国立図書館 |
はい(上述次第で)。図書館で受け入れた全ての電子ジャーナルは全国書誌Canadianaにエントリーされる。この書誌は,当館のデータベースAmicusを使ってウェブから無料で検索できる。 |
英国図書館 |
英国全国書誌には昨年から,UKベースの電子ジャーナルが含まれている。初めは「電子出版物の自発的納本」計画によるものだったが,最近の法定納本法の改正に伴って,数ヵ月先にはこの種の資料をもっと多く含めたいと考えている。 |
フランクフルトドイツ図書館 |
はい。
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スウェーデン王立図書館 |
はい。処理されているのはISSN番号が付与されているジャーナルのみ。
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オーストラリア国立図書館 |
電子ジャーナルはオーストラリア全国書誌データベースに含まれ,またRecent Australian Publicationでもリスト化されている。 |
中国国家図書館 |
いいえ。 |
韓国国立中央図書館
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いいえ。 |
(5) 電子ジャーナルのアーカイビングは自館の任務か?
米国医学図書館
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はい。 |
米国農学図書館 |
当館の蔵書構築の範囲内で,電子ジャーナルのアーカイビングの費用や実行可能性を探り始めたばかり。 |
カナダ国立図書館 |
はい。法定納本法が制定されれば,カナダ図書館・公文書館は(オンライン出版物の収集と同様に)アーカイビングと長期保存に対しても公的な責任を負うことになる。 |
カナダ国立科学技術情報機関 |
いいえ。 |
英国図書館 |
はい。当館はフォーマットに関わらず,英国で出版された全資料を保存する責務を負っている。これには電子ジャーナルも含まれている。現在デジタルオブジェクト管理システムの開発を進めており,そのシステムを使えば,電子ジャーナルやその他のデジタル資料へのアクセスや長期保存が可能となる予定である。 |
ベルリン国立図書館 |
いいえ。 |
フランクフルトドイツ図書館 |
(3)を参照のこと。 電子ジャーナルをアーカイブしているが,それは納本資料であって契約に基づく資料ではない。 当館ではオンライン資料の長期保存を行う予定があり,これらの資料を当館の法定委任に含めるよう,新しい法律の準備を進めている。当分の間,当館は出版社Springer-Verlagとプロトタイプの協定を結び,SpringerLINKに関しては全てのオンライン出版物のコピーが当館のアーカイブスサーバに伝送されることになっている。アーカイブされた出版物はそのうち当館内部でアクセスできるようになるかもしれない。アーカイブされた版のコンテンツは最新のものではないが,利用者は館内からSpringerLINKの本文データにアクセスできる。法律が制定される以前に,同様の協定を他のドイツ出版社と結ぶことを計画している。 |
ハノーヴァー大学技術情報図書館 |
はい。 |
スウェーデン王立図書館 |
<KB> いいえ。しかしこれはオンライン資料の法定納本を実施する際には,重要な問題となってくるだろう。 <BIBSAM> アーカイブの権利は,当館がBIBSAMコンソーシアムの代表としてサインした電子ジャーナルのライセンス契約全てに含まれている。 |
オーストラリア国立図書館 |
オーストラリアの電子ジャーナルをアーカイビングすることに関する法的義務は負っていないが,PANDORAサービスを通じて,電子ジャーナルや政府出版物を含む数多くのオーストラリアのデジタル出版物についてアーカイビングを行っている。 |
中国国家図書館 |
いいえ。 |
韓国国立中央図書館
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いいえ。 |